「愛と光」のストーリー

ジョイス・ハドスンは欧州遊歴中に長い間やもめだった父が彼女の同窓の友ヘレンと結婚したと聞き、悦んでニューヨークへ帰った。岸壁に出迎えたヘレンと共に父が経営する病院へ行くと、遊泳中溺れたハドスン博士が息を引き取った瞬間だった。博士は、病院に一つある呼吸補助器が、時を同じうして溺れた富豪メリックの孫ボビイを救うべくして持ち出されていたために、死んだのであった。浪費と放免の青年が助かり、慈愛の権化の名医が死んだので、ヘレンやジョイスや看護婦長ナンシィ・アシュフォードは、ボビィ・メリックがハドスン博士を殺した、とさえ考えた。ボビィはその後ヘレンを博士未亡人とは知らず恋をした。ヘレンも彼に興味をもったが、彼がボビィと知っては憎まずにはいられなかった。ある日町で出会った彼はヘレンを送るといって自動車に乗せて郊外に出た。怒ったヘレンが帰ると宣言して下車した途端、後方から疾走してきた自動車にはね飛ばされ、頭を強く打った。このためにヘレンは生涯の失明を宣告された。ボビィは深く悶えて、秘かに彼女の経済を豊富にし、欧州の眼科の名医達をパリに集めてヘレンを診察させるように手配した。そして彼はロバート医師という名でヘレンに点字書を貸したりした。ヘレンは優しいロバート医師に好意を、おそらく恋を感じた。しかしパリでの診断は絶望であった。その時ロバートはヘレンを旅舎に訪れて、パリを案内して廻り、ついに自らボビィ・メリックである事を打ち明け愛を告白して結婚を申し込んだ。ヘレンもボビィを愛していた。しかし彼女は盲目を恥じて失踪してしまった。ボビィは落胆したが、元来医科大学出身の彼は一心不乱に眼科と脳の解剖との研究を始めた。そして数年ならずしてノーベル受賞者となるほどの名医となり、6年後ニューヨークへ帰った。その日故ハドスン博士の恩を受けた彫刻家ランドルフが来てヘレンがその故郷ヴァージニアで危篤の病床にある事を知らせた。ボビィはジョイスとその夫トミイ・マスタースン、ナンシイ等と共に急行し、頭部切開の大手術に成功して、ヘレンの眼を再び見えるように治した。彼女の眼が明を取り戻した日、2人の結婚式は挙げられるであろう。