「左きゝの拳銃」のストーリー

1880年代のニューメキシコ平原で、熱気と疲労にやられたウィリアム・ボニイ(ポール・ニューマン)は牛商人のタントール老人一行に救われた。彼こそは既に12歳にして殺人を犯した札つき男ビリイ・ザ・キッドだったが、度胸をみこんだ老人は彼を雇った。折からリンカーンの町では保安官ブラディ、副保安官ムーン、家畜商ヒル・モートンが結託して、老人の牛群が町に入るのを阻み、単身商談に来た彼を3人は峠道で射殺した。逃げる3人を目撃したビリイは復讐を誓い、町に入って白昼の路上で保安官ブラディと対決、罵倒してこれを射ち殺した。一味の副保安官ムーンは法の名によって彼を制裁しようとし、町の人々ともに彼の隠れ家を囲んで火をかけた。銃撃戦ののち、全身に火傷をうけたビリイはマデロの旧知、サバルと美しい妻セルサ(リタ・ミラン)のもとに身をよせた。煩悶する彼は、心をセルサの美しさによってまぎらせた。仲間の牧童チャーリーとトムに合流した彼は再びリンカーンの町に乗りこみ怯える副保安官ムーンを倒し復讐した。保安官殺しによってお尋ね者となった3人を恐れた最後の1人ヒルは、腕のたつギャレットに保護を求めた。ところがギャレットの婚礼の日、ビリイは恐怖に発砲したヒルを射殺した。祝いの日を血で汚されたギャレットはさすがに怒って自ら保安官に就任、自警団を組織して対抗し、トムとチャーリーを射殺し、ビリイを捕まえて、絞首刑を宣告した。獄につながれたビリイは重い鎖を切って辛くも逃亡したが、ギャレットの一隊はこれを追った。彼等はビリイの旧友モールトリーの手引きで彼がサバルとセルサの家にいるのを知った。セルサ夫婦の冷たい態度に家を出てきたビリイは、ギャレットに声をかけられて振り向いた瞬間、夜空に響く1弾をうけて絶命した。沙婆に未練をなくした彼の腰には、もう拳銃さえつけられてはいなかった。