「評決」のストーリー

フランク・ギャルヴィン(ポール・ニューマン)は、弁護士だが、昼間から酒を飲み、新聞の死亡欄で係争問題が起こりそうな事故死を調べては、その葬式にもぐり込み名刺を置いてくるという荒れた生活を送っていた。昔の彼は違っていた。一流大学の法科を主席で卒業し、権威ある法律事務所に勤務するようになった彼は、すぐにボスの娘と結婚しバラ色のエリート・コースを歩んでいた。それが先輩の不正事件に捲き込まれ、彼が買収工作の罪をきせられ逮捕されるという事態に陥ってしまった。クビになり妻とは離婚、全てを失った彼は、そのまま転落の一路を進んでいった。よき理解者の老弁護士ミッキー(ジャック・ウォーデン)ですら、今のギャルヴィンには手を焼いていた。そのミッキーが、ギャルヴィンにある事件をもってきた。その事件とは、出産で入院した女性が、麻酔処置のミスで植物人間になってしまったという、医療ミス事件だった。披害者の姉夫婦が、その病院、聖キャサリン病院と、担当の医師2人を訴えたのであった。原告側の証人である大病院の麻酔科の権威、グルーバーに面会し、完全な医師のミスであることを確信したギャルヴィンは、廃人となったデボラの不幸な姿を見て、ショックを受けると同時に、これまでにない怒りを感じるのだった。訴えられた聖キャサリン病院は、カソリック教会の経営で病院の評判が傷つくことを恐れたブロフィ司教(エドワード・ビンズ)は、ギャルヴィンに示談を申し出た。補償金頷は21万ドル。この仕事に執念を燃やしはじめていたギャルヴィンは、この大金を蹴った。事件は法廷にもちこまれることになり、教会側に雇われた被告側弁護士コンキャノン(ジェームズ・メイスン)が動き出した。ある夜、ギャルヴィンは、行きつけの酒場で、謎めいた範囲気をもつローラ(シャーロット・ランプリング)という美しい女と知り合った。離婚して今は独身という彼女を夕食に誘った彼は、その日ギャルヴィンのアパートで一夜を明かした。数日後、判事のホイル(ミロ・オシア)が、示談解決の余地はないかと相談を持ちかけるが、話し合いがこじれ、ギャルヴィンはミーロに悪い印象を与えた。そんなころ、ギャルヴィンにとって一大事態が発生した。彼の最大の頼みである重要証人のグルーバー医師が、コンキャノンの工作で寝返りをうち、何処かに姿を消してしまったのだ。今さら示談をむし返すことは不可能に近い。窮地に追い込まれた彼の唯一の支えとなったのはローラだった。有利の状況が見出せぬまま開廷の日が来てしまう。事件の焦点は、患者デボラが、なぜ、麻酔マスクの中で嘔吐し、そのために一時的に窒息死した状態になり脳障害を生ずるに至ったかという点にあった。患者が麻酔処置を受ける1時間以内に食事をした場合ならこの種の事故が起こりうる。しかし当夜のカルテには、患者が食事を取ったのは9時間前と示されていた。これなら麻酔処置の過失とはいえない。ギャルヴィンの最後の望みは、なぜか一切の証言をも拒否している当夜の看護婦ルーニー(ジュリー・ボヴァッソ)をくどき落とすことだった。しかし、ルーニーへのアプローチは、すべてコンキャノンに洩れていた。彼は常にギャルヴィンより先回りをしているのだ。誰かが情報を流している…。やがてギャルヴィンは、ルーニーが、当夜カルテに食事時間を書き込み2週間前に病院をやめている看護婦ケイトリン(リンゼイ・クルーズ)をかばっていたことをつきとめた。彼は、ニューヨークにいるケイトリンの居所を探し出しニューヨークに飛んだ。そのころ、コンキャノンの部下としてスパイしていたのがローラであったことを、ミッキーがつきとめた。それを知り愕然とするギャルヴィン。しかし、自分の行動を恥じ、今は真に彼を愛していると告白するローラ。翌日の法廷ではケイトリンが登場し、カルテの数字1を9に書き直したという決定的な証言を発した。ギャルヴィンは勝った。裁判にも自分にも…。

今日は映画何の日?

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