「どうしても触れたくない」のストーリー

嶋俊亜紀(米原幸佑)が、新しい職場の出勤初日にエレベーターで一緒になった酒臭い男、それが上司・外川陽介(谷口賢志)との最初の出会いだった。デリカシーのない外川を初めは敬遠していた嶋だったが、時折みせる気遣いと優しさに嶋は少しずつ惹かれていく。外川も、普段は無愛想な嶋がふとした瞬間にみせる思わせぶりな態度に不思議な感情を抱くようになる。そして初めて二人だけで飲みにいった帰り道、外川が思わず嶋に口づけする。外川の部屋で愛し合い、お互いの過去を語りあう二人。外川は、少年時代に家族を失った辛い過去を抱え、家族に憧れていた。一方の嶋は、前の会社でノンケの同僚と関係を持ったことが原因で人間関係をこじらせ、退職に追い込まれた。そんな二人の関係が続く中、突然、外川の京都への転勤が決まる。嶋のことを気にかけながらも外川は京都へ行く決意を固め「これからも一緒にいたい」と自分の想いを嶋に伝える。だが嶋は「家族に憧れる」という外川の言葉が心に重くのしかかり、喧嘩の勢いで別れ話を口にして自分から一方的に外川を切り離してしまう。外川も嶋の気持ちが理解できず、喧嘩別れしたまま京都に行ってしまうのだった。嶋は外川がいなくなった社内で、何事もなかったかのように仕事をこなしていくが、ある日、外川が禁煙し始めた時に「今度吸うときはそこから貰うから」と受け取った禁と書かれた煙草が机から出てくる。嶋はそれを目にした瞬間、外川の優しさや思い出が一気に蘇り、堪えきれず社内で嗚咽する。そして同僚の小野田良(富田翔)の言葉に後押しされ、ついに覚悟を決めるのだった……。外川が、帰宅すると嶋から電話が入る。久しぶりに話す二人は、たいした会話もできずにいたが外川が急に電話を切り、外に出ると嶋の姿があった。涙ながらに、ようやく本心を口にする嶋。外川は嶋をゆっくり抱きしめ、雪の中、互いのぬくもりを感じ合い愛し合うのだった……。