「美しい絵の崩壊」のストーリー

オーストラリア東海岸のビーチタウン。双子の姉妹のように同じ時を過ごしてきたロズ(ロビン・ライト)とリル(ナオミ・ワッツ)は、今ではそれぞれの伴侶との間に同い年の男の子がいる。ロズの息子トム(ジェームズ・フレッシュヴィル)とリルの息子イアン(ゼイヴィア・サミュエル)は、母親たちと同様に親友であり、海辺の生活を満喫していた。イアンは幼少期に父親を亡くし、それからはロズをセカンドマザーとして慕っていたが、いつしかロズへの気持ちは強い恋心へと変わっていく。そんなある日、ロズの夫ハロルド(ベン・メンデルソーン)は、シドニー大学で演劇の専任講師の職を得たと、家族揃ってシドニーへ転居することを提案。トムの為にも都会で暮らした方が良いと主張するハロルドだが、入り江の家やギャラリーでの仕事を手放したくないロズは即答を避ける。ある夜、深酒をしたトムの介抱のためにロズの家に泊まったイアンは、ロズへの気持ちを抑えきれず、二人は一夜を共にする。母とイアンの行為に気付いたトムはショックを受け、あてつけに同じことをしようとリルに迫る。一度は拒否したリルだが、トムを受け入れて一線を越えてしまう。ロズもリルもお互いの息子と関係を持ってしまったことに戸惑いながらも、二人は愛される幸せをかみしめていた。結局ロズはシドニーへ行くことを拒み、許されないことだと知りながら、二組の男女はその関係を続けることを選ぶのだった。二年後、ハロルドはシドニーで新しい家庭を持っていた。一方、入り江ではロズとイアン、リルとトムの関係は密やかに続いていた。イアンは母の会社で働き、トムは父と同じ演劇の道に進んでいる。そんな中、舞台演出のために長期でシドニーへ赴いたトムは、その舞台の成功とともに女優のメアリー(ジェシカ・トヴェイ)との結婚が決まり、ロズは自分とイアンの関係も清算する時期だとイアンを説得する。だがロズを愛しているイアンは納得がいかず、自棄になったイアンはトムの結婚式に出席していたハナ(ソフィー・ロウ)と付き合うが、そこに愛はなかった。ハナとの関係を終わらせようとしていた矢先、イアンはハナに妊娠を告げられる……。数年後、ロズとリルは可愛い孫たちに囲まれていた。入り江で戯れる一家の様子は美しい一枚の絵画のようであったが、ある晩、リルとトムが秘密裏に体の関係を続けていたと知ったイアンは、その脆く美しい絵を一気に崩壊させてしまう……。