「ビザンチウム」のストーリー

放浪生活を送る16歳の少女エレノア(シアーシャ・ローナン)と8歳年上のクララ(ジェマ・アータートン)が、海辺のリゾート地を訪れる。高齢者向けの保養施設で、若いウェイター、フランク(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)に声を掛けられたエレノアは、彼に自分に似た孤独を感じ、親近感を抱く。その頃、夜の遊園地で、クララが内気な青年ノエル(ダニエル・メイズ)を言葉巧みに丸め込んでいた。ノエルは唯一の肉親である母を亡くし、ビザンチウムという老朽化したゲストハウスを相続していた。クララはビザンチウムを売春宿に仕立て、隠れ家にすることを思いつき、遊園地を根城にするポン引きの男を誘惑する。クララは男の喉笛を切り裂き、その血を飲み干す。クララとエレノアは、人間の血を吸って生きるヴァンパイアなのだ。ある日エレノアは、自転車事故を起こしたフランクと再会する。フランクの左手から流れる血に、エレノアは胸騒ぎを覚える。彼は白血病の治療のため、抗凝血剤を服用しているという。フランクと心を通わせるにつれ、自分たちの秘密を知った人間は抹殺するという掟に良心の呵責を感じたエレノアは、自分の生い立ちを綴った“物語”を彼に手渡す決意をする。19世紀初頭、少女だったクララは海軍大佐ルヴェン(ジョニー・リー・ミラー)の毒牙にかかり、娼婦に堕とされる。クララは身籠るが、娼館では育てられず、娘を孤児院に預ける。ダーヴェル大尉(サム・ライリー)が絶海の孤島の小さな神殿で儀式を受け、“同盟”と呼ばれる不老不死のヴァンパイア集団の一員になったことを聞きつけたクララは孤島の地図を奪いヴァンパイアとなるが、男だけの“同盟”から追われる身となる。孤児院で16歳になっていたエレノアにも儀式を受けさせ、逃避行を続けた。フランクは“物語”に動揺しながらも、エレノアへの愛を貫こうとする。しかしそれに気づいたクララはフランクを殺すため、彼の家へ向かう。そのとき、 “同盟”の追跡者も2人に迫っていた……。