「生きるために」のストーリー

かつてミドル級のバルカン・チャンピオンであったボクサー、サラモ(ウィレム・デフォー)は1943年のナチのギリシヤ占領によって、恋人のアレグラ(ウェンディー・ガゼール)や家族とともにアウシュビッツに送られる。アレグラとも離ればなれになっての苛酷な強制労働の日々、サラモはついに横暴な班長に鉄拳を振るう。それを聞いたナチ親衛隊の少佐はサラモを呼び出し、彼がチャンピオンだったことを知ると、自分のために試合に出るよう命じる。ナチの将校の賭けの対象となってなぐさみものにされる屈辱、そのうえ負けれぱ即ガス室送りだ。サラモは勝ち続けねばならなかった。生きるために。そんな中、弟のアブラム、そして父が次々と処刑されてゆく。が、サラモはなすすべもなく見送るよりなかった。突然の空爆。混乱の中、サラモはアレグラに再会する。しかしそれも束の間、すぐに別れねばならなかった。戦況の変化によってアウシュビッツが閉鎖されるという報に、捕虜たちは反乱の計画を実行に移し、サラモもそれに加わった。が、すぐに弾圧され、捕虜たちは処刑される。サラモにも執行の順番が迫る。その時扉が開いた。戦争は終わったのだ。しかし自由の身となったサラモの手にはもはや何も残されていなかった。