「怒りを胸にふり返れ!」のストーリー

スポーツ・カーを走らせ、バスケットの選手として輝かしい名声を持ち、今や“ミスター・デイビス”と呼ばれる有能な高校教師クインシー(カルヴィン・ロックハート)には、ハーレム出身の面影は、もはやどこにも見当たらなかった。その彼が、教育委員会の要請で、今度白人高校が合併されることになったハーレムの黒人高校に招かれた。熟慮の末、引き受けることにした彼は、さっそく教師たちと面会した。ほとんどが無気力な教師ばかりであったが、クインシーはその中の1人、ロレイン(ジャネット・マクラクラン)に好感をもった。いよいよ合併の日、クインシーのクラスには、運動家で指導者タイプの白人ダグラス(ジェフ・ブリッジス)、黒人グループのボスJ・T・ワトソン(ジェームズ・A・ワトソンJr)、差別主義の白人リーキー(ロブ・ライナー)などがいて、一触即発の危機をはらんでいた。授業をはじめたクインシーは、学力が劣り、学ぶ気のないジョンソン(ドウェイン・ジェシー)等の黒人生徒にエロ本を通して文学に親しませる、という画期的な教育法を試みた。これは見事に効を奏し、読書会に参加する者も増えたが、J・Tはことあるごとに反抗し、黒人対白人といざこざは絶えなかった。少数の白人はいつも迫害され、ついに、バスケット・チームに入ったダグラスが、黒人選手にふくろだたきにあうという事件が起きた。その後、対立も少なくなり、緊張もやわらいできた時、リーキーの父親が、誤解からジョンソンを殴るという事件が起きた。再び学内は騒然となり、校長はジョンソンを放校処分にしてしまった。怒り狂ったJ・Tは仲間と共に、正門にバリケードを作り、校長の要請した警官隊とむかい合った。ロレインと共に急きょ駆けつけたクインシーは、説得工作にかかった。この彼の真摯な熱情に、J・Tの態度も次第にやわらぎ、バリケードはとりはずされた。だが、まだダグラスの問題があった。学校をやめると言い張る彼に、クインシーは言った。「君が味わった気持ちは、百年間黒人が味わってきたものなんだ」。今はクインシーに友人以上の感情をもったロレインも、他の職業をさがすことをやめ、学校にとどまることにした。彼らには、まだこの学校にとどまって、やらねばならぬ仕事がたくさん残っているのだった。(ユナイト配給*1時間40分)