「アンデルセン物語(1952)」のストーリー

1805年、デンマークのオーデンスの町に、ハンス・クリスチャン・アンデルセン(ダニー・ケイ)という人の好い靴屋が弟子のピーター(ジョーイ・ウォルシュ)と共に住んでいた。彼はいつも子供を集めては面白い童話を語って聞かせる人気者だったが、これが町の首脳部には気に入らず、ついに彼はピーターと2人で首都のコペンハーゲンへ夜逃げしなければならぬ破目におちいった。都へ着いたハンスはふとした間違いから牢獄へ投げ込まれたが、あるバレエ劇場でバレエ靴が急に入用ということで釈放され、注文主に会いに行くと、相手は美人のバレリーナ、ドロ(ジャンメイル)であった。ハンスは一目で恋に落ちた。ドロはバレエ演出家ニールス(ファーリー・グレンジャー)の妻で、彼らの夫婦喧嘩を芸術上の争いと誤解したハンスは、いよいよドロを想いつめてその夜、恋心を托した童話「人魚姫」を書き上げた。翌朝、この紙片は風にのってドロの手許に届いたが、ハンスが彼女の許にかけつけた時、既にバレエ団は旅興行に出て行った。ハンスの童話が新聞にも載るようになった頃、バレエ団は再び帰ってきた。ハンスはドロに捧げる靴をもって駆けつけたが、ニールスは邪魔なファンだと思い込んで彼を物置に閉じ込めてしまった。その夜の演目は、ハンス原作の「人魚姫」であった。閉じ込められた彼の頭には、ドロの踊る人魚が幻の如く浮かんだ。翌朝ハンスはやっと助け出されたが、彼はその時初めてドロが人妻であったと知り、ドロもまた、彼が深い愛情を自分に捧げていたことに気付いた。傷心のハンスは、既に彼を見限って去ってしまったピーターを追い、2度と童話など語らぬ決心で故郷に向かった。だが町に着いた時、待ち構えていたのはひたすら彼のお話に焦がれていた子供たちだった。そして今では、かつて彼を追った首脳部までがその童話に耳を傾けるようになった。