「追憶(1957)」のストーリー

1920年頃のシカゴは禁酒法の裏をかいてヤミと不正が横行する騒然たる歓楽の都だった。一流芸能人となる野心をもったヘレン・モーガン(アラン・ブライス)は、この都の興行師ラリイ(ポール・ニューマン)の許にショウ・ガールとして実を投じた。しかしそれは三文小屋での三流芸人生活だった。タフなラリイは清純なヘレンにひかれ求愛したが、はかばかしくない商売を恥、置手紙を残して去った。ヘレンが、再び秘密酒場の歌手募集テストで会った時、彼は相棒ベンと密造酒ブローカーをやっていた。彼はヘレンをモントリオールの美人コンテストに出場させ、ミス・カナダの金的を射とめさせたが、後刻彼女にカナダ国籍がないことが判明して失格した。コンテストの審査員の1人、弁護士ラッセル・ウェード(リチャード・カールソン)だけは彼女に同情をよせた。この頃からラリイとベンはギャングの親分の片腕となって顔を売り、秘密酒場のスタートしてヘレンを売り出した。しかし警察による酒場の摘発から、彼女は留置の憂目にあう。弁護士ウェードの尽力でカムバックし、桧舞台の人気歌手となったヘレンの心はウェードに傾いたが、彼には妻があった。失意の彼女にラリイは激しく求愛した。彼女の幸福を願うラリイは秘かにウェードの助力を得て、ジーグフェルドに彼女を紹介し、「ショウ・ボート」のジュリー役を得るという幸運をつかんだ。彼女の人気は高まった。けれども彼女のために開かれたナイト・クラブには、甘い汁をすう影の人ウェードがあると知り、ラリイの暗黒街での争いもあって、ヘレンは酒に酔い痴れ、国外に逃避した。各国をめぐった彼女は大歓迎をうけたが、不況を反映した株の暴落で結局は無一文となった。その頃ラリイとベンはギャング間の争いの銃撃戦で傷つき、刑務所に収容されていた。帰国してアル中患者となったヘレンと彼が会ったのは、冷たい療養所の壁の中だった。全快近いヘレンと出所したラリイは、かつての彼女のナイト・クラブを訪れた。荒れ果てた建物の中に灯りがつき拍手が轟いた。そこには昔の仲間たちが待っていたのだった。