「あれ」のストーリー

ワルサム百貨店主ティー・ワルサムは、店を息子のサイラス(アントニオ・モレノ)に任せて遠く田舎へ狩猟に出掛けた。女性店員たちはこの若主人には、エリノア・グリン女史のいうところの「あれ」があると相場を決めた。「あれ」とは、外見や体格上の魅力ではなく「心的な内面的な性的魅力」すなわち「精神的吸引力」を指すのである。ワルサムの友人のモンティ(ウィリアム・オースティン)の観察によれば、ワルサム百貨店の女性店員の中で「あれ」がある者は、ベティ・ルウ(クララ・ボウ)だけという。ところが彼女はモンティよりもサイラスの方が好きで、モンティは結局ベティとサイラスの恋のキューピッド役にまわらねばならなかった。ベティはその頃、病弱な友人モリー(プリシラ・ボナー)を何かと世話しており、モリーには赤ちゃんがいた。そして「病弱の母が赤ん坊と一緒にいるのは良くない」という理由で、公安会の婦人たちが無理に赤ん坊を育児院に入れようとした時、ベテイーは見るに見兼ねて、「それはモリーではなく私の子です」と言って取り戻す。この出来事がモンティの口からサイラスの耳へ伝えられ、サイラスはベティに私生児があると誤解した。そしてベティとサイラスは仲たがいをし、彼女はワルサム百貨店を辞してしまう。ある日、モンティからサイラスがヨット旅行を計画していることを聞いたベティは、こっそりヨットに乗り込んで、サイラスの女友達をあっと言わせる。そしてベティはサイラスの誤解を解いて、ふたりは再び深く愛し合う仲となった。