「ダニューブの漣」のストーリー

麗しいダニューブ河岸にある古城にエリッヒ・フォン・スタッツェン男爵は貧乏で誇り高い伯父と暮らしていた。彼は美しい村娘マーガレットと愛していたが、伯父は彼を酒醸造家ブールシュの娘ヘレナと結婚させようと思っていた。マーガレットの母ローザは、マーガレットを狂気の様に愛しているルドウィヒの虚言を信じてエリッヒが偽りの愛を以てマーガレットに対しているものと考え、娘とエリッヒとの交際に反対していた。ダニューブの祭りの夜、エリッヒはマーガレットを踊ってその心を打ち明けた。それを嫉妬に燃えたルドウィヒの眼をうかがっていた。その夜、宣戦は布告された。エリッヒは戦いに赴かねばならなかった。そこで彼はルドウィヒに、マーガレットに明朝停車場まで来る様、出発前に結婚したいから、と伝言を頼んだが、ルドウィヒは故意にそれを伝えなかった為、エリッヒはマーガレットに会えず失望しつつ戦地に去った。また事の由を知らぬマーガレットもエリッヒに棄てられたものと信じて悲しんだ。エリッヒが戦地から彼女におっくる手紙もルドウィヒによって握り潰された。戦いが終わって未だエリッヒが帰らぬに先立ち、エリッヒの伯父とブールシュとは、エリッヒの言いとしてマーガレットに手切れ金1000マルクを興へエリッヒと別れる事を切り出した。憤りに昴奮したマーガレットは、それを承諾すると共にルドウィヒと結婚した。その夜、エリッヒは帰って来た。彼はマーガレットの結婚を知って驚き、その住居を訪れた。そこでルドウィヒの悪だくみがあばかれる事になった。彼はエリッヒを刺さんとして果たし得ず、絶望の余り、自らの命を絶った。かくてエリッヒとマーガレットとに楽しく結ばれる日がめぐり来た。