「濁流(1921・アメリカ)」のストーリー

ミシシッピ河流域にあるコッニトニアの町にストラットンの経営する料理店があった。町が河よりも低いので、洪水を恐れたストラットンは洪水の際、水の入らぬような頑丈な扉を入口に備え付けていた。ある時猛烈な洪水が押し寄せて10人の男と1人の女とが、この料理店に閉じ込められてしまった。その中には若い仲買商のビリー・ベアー、彼の恋する唄女ポッピーもあった。おのおのは何時引くともない洪水に閉ざされて、空気が無くなれば死なねばならないと知った時、今までの利己的な心や果敢ない巧妙心は皆消えて、広い人道愛に覚め、皆過去の罪を懺悔して、最後の時を待っていた。彼等は徐々に窒息して死ぬよりも、いっそ水に溺れて死のうと入口の扉を開けた。何と、町には美しい日光が輝いて、既に洪水は引いてしまっていた。命が助かったと知ると、彼等は今までの美しい心を忘れて、再び利己的な人間に返ったが、ビリーとポッピーとは例外であった。2人はおのおの朗かな心地を抱いて結婚の許可証を取りにと急いだ。