「夢売るふたり」のストーリー

東京の片隅にある小料理屋。この店を営むのは、愛嬌たっぷりな人柄に加え、確かな腕を持つ料理人の貫也(阿部サダヲ)と、彼を支えながら店を切り盛りする妻の里子(松たか子)。2人の店は小さいながらも、いつも常連客で賑わっていた。ところが5周年を迎えた日、調理場からの失火が原因で店は全焼。夫婦はすべてを失ってしまう。もう一度やり直せばいいと前向きな里子とは対照的に、やる気を無くした貫也は働きもせず酒に溺れる日々。そんなある日、貫也は駅のホームで店の常連客だった玲子(鈴木砂羽)に再会する。酔っ払った勢いに任せて、玲子と一夜を共にした貫也。翌朝、浮気はすぐに里子にバレてしまうが、里子はその出来事をキッカケに、夫を女たちの心の隙間に忍び込ませて金を騙し取る結婚詐欺を思いつく。自分たちの店を持つという夢を目指し、夫婦は共謀して次々と女たちを騙し始める。実家暮らしで結婚願望を持つOLの咲月(田中麗奈)、男運が悪い風俗嬢の紀代(安藤玉恵)、孤独なウエイトリフティング選手のひとみ(江原由夏)、幼い息子を抱えたシングルマザーの滝子(木村多江)……。計画は順調に進み、徐々に金は貯まっていく。しかし、嘘の繰り返しはやがて、女たちとの間に、そして夫婦の間にさえも、さざ波を立て始めていく……。