「戦艦くろがね号」のストーリー

19世紀の初頭アフリカの地中海岸バーバリー地方には一大海賊団が跋扈し、トリポリを根拠地として猛威を逞しうしていた。彼等の背後には回々教の後ろ盾がありトリポリには堅牢なる要塞を築いて侮り難い勢いであった。その結果地中海沿岸の小国は勿論遠く米国なども彼等に悩まされた。しかも米国はその誇りとしたジョージ・ワシントン号を奪われたので1803年の議会の問題となり、コンスチチユーシヨン号が新たに建造され海賊討伐に赴くことになった。この軍艦は賊にオールド・アイアンサイヅと呼ばれた装甲帆船で当時の最も巨大なる戦艦であった。この外に当時米国にはフイラデルフィア号と小艦イントレビッド号があるだけだったが、米艦二隻が海賊討伐に赴くという事は海運業者航海業者に痛く喜ばれた。米国東部のサレム港に停泊していた商船エスター号もこの報に力を得て、船主の娘や船長の妻までも乗り込んでイタリーのナポリ港へ出帆した。この船にはコンスチチユーシヨン号を脱走した「砲手長」と呼ばれる田舎青年と後に「提督」とあだ名された青年とが新しい水夫として乗り組んだ。この「提督」は海兵志願だったが勤勉な働き者なので皆に好かれたが中にも船主の娘とは若い同志の何時とはなく恋し合う仲とさえなった。エスター号が出帆したころには最早海賊は米艦に依って掃蕩されている筈だったのに地中海に入ると間もなく、濃霧中より現れた海賊の為に捕獲されトリポリへ送られた。そして船長夫妻は人質にとられ、水夫等は奴隷にされ、船主の娘はエッサー号諸共に回々教主トルコ皇帝へ献上されることになった。フイラデルフィア号は海賊船を追跡中誤ってトリポリ付近の浅瀬に乗り上げ捕獲されていた。この事を知ったコンスチチユーシヨン艦長ブレブル提督は怒りつつも深く心に決する所あり、青年士官デケーターは決死隊を率いて小艦イントレビッド号に乗り組み、今は味方に取って邪魔物たるフイラデルフィア号を爆沈せしめた。コンスチチユーシヨン号はトリポリへ向かったが途中一葉の小船を救った。それには海賊の手を逃れ来た「提督」や水夫長やコックや「砲手長」が乗っていたので敵情益々明らかとなった。かくてコンスチチユーシヨン号はトリポリ砲撃を開始し激戦数刻の後トリポリは陥落した。その間「提督」の嘆願によりエスター号は砲撃さるることなく船主の娘船長夫妻皆無事なるを得た。そして雄々しい青年と美しい処女との夢と恋とを乗せてエスター号は目指すナポリ港へ向かった。

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