「ストリートファイター(1975)」のストーリー

1936年のニューオリンズは、暗い不況の嵐の中でものういジャズの音色に身を沈めていた。そのニューオリンズのうらさびしい駅に、労務者姿の男がおりたった。彼の名はチャニー(チャールズ・ブロンソン)といった。屋台で粗末な食事をすませたチャニーは、喚声が聞こえる倉庫に向かった。そこでは、裸の大男が対峙し、大ぜいの労務者ふうの観客がとりまいたいた。勝負が始まり、二人のストリートファイターは壮烈に殴り合い、蹴り合い、取っ組み合った。その夜、ある料理屋でチャニーは倉庫にいたストリートファイターのマネージャー、スピード(ジェームズ・コバーン)に自己紹介した。「俺なら勝てるぜ」。最初うさん臭そうだったスピードもチャニーの申し出を承諾した。翌日の試合でチャニーは何なく相手を倒した。賭金で安アパートを借りたチャニーはルーシー(ジル・アイアランド)という女性と知り合った。一方、チャニーという素晴らしいファイターを得たスピードは、この世界のチャンピオン的存在であるジムに勝負を申し込んだ。しかし、ジムのマネージャー、ギャンディル(マイケル・マクガイア)は、ファイト・マネー3千ドルでなければ勝負しないと断った。資金集めと並行して、スピードは昔なじみのトレーナー、ポー(ストロザー・マーティン)をチャニーに引き合わせた。どうにか3千ドルの工面がついたスピードは、再びギャンディルに試合を申し込み、決戦が成立した。発電所の一遇、高い網が四方を取り囲むリングで死闘が始まった。チャニーのパンチも、小山のようなジムの肉体には通用しない。ジムは薄気味悪い笑いをうかべてパンチをくり出す。肉体が音をたてて激突する。だが、素早いフットワークと連続パンチで、チャニーはジムをノックアウトした。チャニーとスピードには9千ドルという大金がころがり込んできた。しかしスピードはその分け前をバクチですってしまい、高利貸しのル・ボーから命まで狙われるようになった。そんなとき、ジムのマネージャー、ギャンディルから、チャニーを共有して5千ドルずつ利益を分けようと申し入れがある。生来の流れ者チャニーはこの申し出を断った。そのためにギャンディルは、いかにもプロという感じのファイターを雇ってチャニーにぶつけようとした。ル・ボーと手を組んでスピードを倉庫に監禁したのだ。ルーシーとの決定的な別離もあってチャニーはこのファイトに自分の5千ドル賭けた。彼は、ギャンディルのファイターをも倒してしまった。チャニーは勝った金をスピードとポーに分けると、またあてのない旅に出発していった。