「女優志願」のストーリー

ハイ・スクール時代からの演劇少女エヴァ・ラヴレース(スーザン・ストラスバーグ)は、舞台人のメッカ、紐育のブロードウェイにやってきたが、プロデューサーや俳優周旋業者の眼は冷たかった。新作公演を前に忙しい著名なプロデューサー、ルイス・イーストン(ヘンリー・フォンダ)も、とりあってはくれなかったが、彼女はその事務所でねばったすえ、老舞台俳優ロバート・ヘッジス(ハーバート・マーシャル)と新進劇作家ジョー・シェリダン(クリストファー・プラマー)に知りあい、シェリダンのとりなしで端役の採用テストを受ける機会を得た。しかし失敗した彼女は姿を消した。自分の新作がイーストン提供により、人気女優リタ・ヴァノン(ジョン・グリーンウッド)主演で幕をあけた初日、シェリダンは劇場の前で再びエヴァに会った。紐育タイムスの初版の劇評が好評なのを喜んだ彼は、彼女をイーストンのアパートでの初日終了祝のパーティともなった。シャンパンを飲んだエヴァは、「ロメオとジュリエット」のバルコニーの場を満座の中で演じた。老優ヘッジスが即興でロメオの台詞をひきうけ、人々は一瞬新鮮な彼女の魅力に息をのんだ。イーストンもその1人だった。パーティも終わった明け方、寝室に入ろうとしたイーストンは、酔いに眠ってやっと目覚めたエヴァを見た。こうして2人は結ばれた。翌朝は雪だった。今は後悔に悩むイーストンは、以後エヴァと会うことを避けた。彼女は1人グリーニッチ・ヴイレジの小さな酒場で、タイツ姿で詩や散文を朗唱して生計をたてた。一方シェリダンの新しい戯曲は舞台稽古に入っていたが、心ひかれるエヴァを念頭に書いた新作は、人気女優リタとは役柄が合わず、たび重なる彼女の改訂要求に彼は苦しんでいた。酒場でエヴァをみつけた彼は、秘かに彼女を劇場によんで稽古をつけた。しかし彼女は希望のない稽古の日々をきらって去った。初日も間近い日、遂に不満をつのらせたリタは肺炎と称して引きこもってしまった。公開直前に主役はリタから新人エヴァに変更された。突然のことに、舞台恐怖症にかかったエヴァも、ヘッジスの励ましやイーストンの努力で難関を切りぬけた。そして新作の初日公演は、激しい拍手のうちに大成功の幕を下ろした。いろいろのことがあり、いろいろの人の力が彼女の成功を助けた。しかし、今や誰の手をも離れた、誰のものでもない新しい女優、エヴァ・ラヴレースが誕生したことを人々は知るのだった。