「アマゾンの紅薔薇」のストーリー

ボリヴィアの荒地で原住民たちは赤熱の下そして残忍なるジョージ・ギルスパイの監督の下に鉄道の敷設工事に従っていた。人々はただ2人を除く外は誰一人として彼を憎まぬ者とてはなかった。その2人とは彼の姪であるハーフのトニと、心の部下ゴットマンとである。トニは伯父を信じ切っていたこととて、人々が彼を悪様に噂してもそれを信じようとはしなかった。トニの心はこの程この地へ工事の監督に来た英国人アーサー・ウァイアットへと向けられた。が、彼はトニを見かえろうともしないでいた。その内にギルスパイは副技師のジム・モートレイクが工事の内容をアーサーに告げはしまいかと懸念し、ゴットマンをしてモートレイクを叢林中におびき出させ、やがて自らは逃げ帰り、モートレイクをして叢林中に闘死せしめた。その死体と遺書とは、かねてアーサーやモートレイクに好意を寄せているインディアンのソリアノに発見せられた。これを聞いてアーサー始めインディアン一同は憤激した。アーサーは皆をなだめ、一先づ本部に帰って一部始終を報告して後にしようとこの地を出立しようとした。これを知ってギルスパイは、アーサーに行かれては身の破滅と、途中に彼を亡き者にせんとし、己れを信ずるトニに命じてアーサーの小屋に行きその道順を探らせる。アーサーは娘の純真さに動かされたものの、道順を偽って教えた。しかるに、片恋ひとは知りつつもアーサーを恋するトニは、ようやくにして伯父の企らみを知って、アーサーより聞かされた道とは違った道を伯父に告げた。が、計らずも、それが本当にアーサーの取る道であった。程経てそれと知ったトニは急をアーサーに告げんと現場に走ったが、時既に遅く彼はゴットマンに射たれて河に落ちた後であった。この報を得てインディアンたちは遂に復讐の挙に出でた。ゴットマンは斃され、ギルスパイは叢林中に追い込まれた。一方、トニの看護によって甦ったアーサーに、この彼女のいじらしい真心が何と映じたであろうか。