十誡(1923)のストーリー

「十誡(1923)」のストーリー

〔第一部〕イスラエルの子孫はエジプトの地に於いてラメセス王の虐政に苦しめられていたので、神は立法者モーゼをその地に送って民の患みを救はしめんとした。モーゼはエジプト王に迫ってイスラエルの子孫をエジプトの地より立ち去らしめんとしたが、王はこれを拒むので7つの疾病を流行させ、或はエジプト人の長子を一夜のうちに殺してしまう。王はこれに恐れてモーゼをしてイスラエルの人々を率いてエジプトの地を去らしめたが、息子の甦らぬのに憤って去り行くイスラエル人を軍隊をもって追撃した。モーゼは色々の奇蹟を行ってエジプト軍を防ぎ遂に神に祈って紅海の水を二つに割って陸地となし、その間を渡って対岸に上陸した。エジプトの軍勢はその跡を追って全部水に溺れて殺される。モーゼは人々を率いてシナイ山の麓に陣を張り、山上に於いて40日の間神に祈った。神はモーゼ十誡を下し給う。イスラエルの人々はモーゼの不在を幸として彼の妹ミリアムを立て、黄金の子牛をつくってこれを崇拝し、歓楽を画して踊り狂っていたので、モーゼこれをみて憤り十誡の書き記された石板を抛って歓楽に狂うイスラエル人3千人を打ち殺した。〔第2部〕この物語を孤燈のもとで老たる母はジョンとダンの二人兄弟に読んで聞かせた。兄弟は大工を職トシテイタガ、兄のジョンは正直一方の男であるのに反し、弟のダンは多少の不正をしても金銭を得ようと望んでいる男であった。ダンはメリーという娘と結婚して、数年の後には建築業者として相当の地位を得ていたが、彼の兄のジョンは依然として一介の大工に過ぎなかった。ダンはサリー・ラングという妖婦に迷っていたが、引き受けたある教会の建築工事を引き受けた時、セメントの混合に砂を多く混入して不正の利得を働いていた。一日母がダンを訪れて来た時、偶然壁が崩落して母は下に埋もれて非業の死を遂げた。ダンの不正な事実は世に暴露され、彼はサリーに金策を要求して拒絶されて彼女を射殺し、逃れる途中激波に溺れて死ぬ。彼の妻メリーは義兄のジョンに慰められて微かに前途の光明を認めた。