「はさみ hasami」のストーリー

東京都中野区にある理容美容学校で教壇に立つ若手教員・永井久沙江(池脇千鶴)は、日々、誠心誠意をもって学生たちに接している。カットが苦手なことを思い悩んでいた美容科の学生・木村弥生(徳永えり)はある日、実習室でひとり黙々と見事なハサミ捌きを見せる田村いちこ(なんしぃ)の姿を見る。弥生はいちこからハサミの使い方のコツを教わり、2人は友情を深めていく。そして、何事も一生懸命が大事だということを悟る。落ち着きがなく情緒不安定気味で、高校時代に引きこもりをしていたことがある美容科の学生・葉山洋平(窪田正孝)が、授業に姿を見せなくなる。久沙江は洋平が一人で暮らす部屋を訪ねる。離婚した父親が再婚し、赤ちゃんを授かったことで複雑な心境になった洋平は、授業に身が入らなくなっていた。後日、久沙江は洋平の実父(石丸謙二郎)と叔母(烏丸せつこ)と面談する。そして洋平を叔母の美容室で働かせながら、昼間部から夜間部に編入させて国家試験を目指すことにする。洋平は、再び学校に通い出す。順調に前に進み始めた弥生、いちこ、洋平に、それぞれ試練が立ちふさがる。そんな3人とともに試練に立ち向かう久沙江にも解決できなくなったとき、ベテラン先輩教員の築木洋子(竹下景子)が、かつて自分が恩師から授かった言葉“シザーズは人の働きかけに似ている。上が動く刃、下が受け止める刃”を披露する。その言葉を聞いた久沙江は、自分が動く決意をする。