「蜃気楼の女」のストーリー

マリアンは田舎の工場に働く美しい娘であった彼女は同じ工場に働くアルと親しい仲であったが現在の境遇を嫌悪して機会あれば都会へ行こうと心掛けていた。ある夕、アリアンが工場からの帰途、彼女がニューヨーク行の列車が不時停車しているのに出会ったがその列車に乗り込んでいたウォリイという男が冗談半分にニューヨークに来たければ俺を訪ねて来いと彼女に言った。その言葉に喜んだ彼女は家に帰って早速これをアルに打明けた。ところがアルが見知らぬ男の言を信じた彼女の軽率を責め、これがたちまち彼女の憤怒を買い二人は喧嘩別れをしてしまう。その結果マリアンはニューヨークへひとり行くことになる。さて数日後望みどおり目的地に着くと直ちにウォリイを訪れた。ウォリイは彼女が冗談を真にうけて遥るばる訪ねて来たのに困惑したが、たまたま居合わせた友人マークは彼女の愛らしさに心をひかれる。お互いに紹介されて口をきくうち二人の友情は次第に濃いやかになった。マークは百万長者で政界に乗り出す野心を抱いていた。友情は恋と変り二人の交情はその後三年間も続いた。だがそれは結婚までに至らなかった。その間、マリアンは生活の便宜上からモーアランンド婦人を称えていた。マークがいよいよ州知事の候補者として名乗りをあげると知ったマリアンはマークの成功を希うあまり、事業かとなるべく上京した昔の友アルと結婚する風を装った。マークの党の大会が盛大に開催され彼が熱弁を振っている際、反対派の連中がモーアランド婦人を問題にして場内を混乱意にち導いたので絶えかねたマリアンは壇上に駆け上がりマークのために極力弁護した。数刻の後、場内を出て行くマリアンの後を追ったマークの胸中にはすでに当落の念など毛頭なかった。マークは彼女を抱いてただ感謝するのみであった。