「深海征服」のストーリー

大西洋の深海で、ここ数カ月にわたり、科学者と海洋潜水士の団が海洋ラボ第2号と呼ぶ海底研究所で実験調査を行なっていた。ラボ号は深い海溝の縁に設置されていた。彼らの仕事は、初期の宇宙飛行士たちの実験に似ていた。人間が肉体的・心理的に海底環境にどの程度まで適応できるか、という調査が目的だった。ラボは海上に浮かぶ母船トライトン号からケーブルによって電力その他の供給を受けている。ある日、リーダー格の潜水士ドン・マッケイ(アーネスト・ボーグナイン)とボブ・カズンス(ドネリー・ローズ)が、ラボでの1日の仕事を終えて母船へ戻る途中、海底地震に見舞われた。ラボは前後左右に大きく揺れたが、ついに海草を砂をひきづるようにして海溝深く転落して行った。一方、トライトン号では、生物学者であり魚類学者でもあるリア・ジャンセン博士(イヴェット・ミミュー)、生物学者であり環境学者でもあるサミュエル・アンドリュー博士(ウォルター・ピジョン)とウィリアム船長(クリス・ウィギンス)は、ラボと彼らの母船をつなぐケーブルが切れた事を知った。船長はSOSを発信し、救援隊を求めた。海底捜査は4日間にわたって行なわれたが、目的は達せられず引きあげて行った。そこで最後の手段として深海潜水艇ネプチューン号を使用する事を決めた。ネプチューン号は深海の水圧に耐えられ、機動力があった。指令官アドリアン・ブレイク(ベン・ギャザラ)は、最初から自分の使命は海底のラボと潜水士たちが遭難した事を確認する事であると考えていた。マッケイとカズンス、ブレイクがネプチューン号に乗り込み、早速、捜査が開始された。やがて航続時間が少なくなり、マッケイは現場をカメラに収めた。それによって、ラボが海草をひきずりながら海溝に滑り落ちた事が判明した。リア博士たちはもう1度、海底捜査を行なうよう要求したが、ブレイク指令官は、未知で不安定な地域に潜水する事を拒んだ。だが結局1時間だけ潜水する事になり、リア博士も乗り込む事になった。ネプチューン号は、金属音を頼りに徐々に潜航して行き、やがて海底の鍾乳洞に入った。そこには巨大な海綿が水にゆれ、巨大な魚類が餌をあさっていた。人間を丸のみにする程の大きな赤い海綿、大カニ、タツノオトシゴなど、普通の魚よりも100倍も大きかった。ネプチューン号が巨大な深海の動物たちの間を縫うように進んでいくと、ラボの破片を発見した。潜航を続けた結果、とうとうラボ号を発見し乗組員3人の生存も確認できた。マッケイ、カズンス、ブレイクが生存者救出にあたり、リア博士が艇内に残る事になった。恐怖におびえるモールトンはナツメウナギに噛み殺されたが、ハミルトン博士とブラッドリーは無事救出された。ネプチューン号はやがて人跡未踏の海底の世界から静かに浮上して行った。