「シルビアのいる街で」のストーリー

朝、ホテルの一室。ベッドの上で考え事をしていた青年(グザヴィエ・ラフィット)は、やがて地図を片手に街へ出てゆく。カフェで女性客に声を掛けるが無視され、不注意から運ばれてきた飲み物をこぼしてしまう。翌日。演劇学校前のカフェの奥に陣取り、客を観察してデッサンをしている。ノートの余白に“シルビアのいる街で”とフランス語で記す。カフェの喧騒、市電の通り過ぎる音、ジプシー音楽風のメロディーを物悲しく奏でるバイオリンの女たち。彼は、ガラス越しに見つけた美しい女性(ピラール・ロペス・デ・アジャラ)に目を止める。彼女がカフェを後にすると、彼も慌てて後を追う。中世風の美しい町並みの下、繰り広げられる追跡劇。彼は“シルビア”と声を掛けるが、反応はなし。市電の中で再び声を掛ける。“バー飛行士で6年前に会ったシルビアだよね。あの時、君がナプキンに書いてくれた地図を、今でも持っているよ”。だが、女の返事は“自分は1年前ににこの街に来たばかり。人違いよ”とそっけないもの。加えて“ずっと尾行されていて気味が悪かった”との非難まで浴びてしまう。1人取り残される青年。夜は孤独に、思い出のバー“飛行士”で過ごす。翌朝。再びカフェに姿を見せた彼は、やがて市電の駅へ。通り過ぎる市電の窓越しに見え隠れするたくさんの人々。ガラスに反射するいくつもの人影。彼のノートが風にめくられてゆく。女の後姿。ブロンドの長い髪が美しく舞っている。駅に佇む彼の前を、何本もの市電が通り過ぎていくのだった……。

今日は映画何の日?

注目記事