「シャネル&ストラヴィンスキー」のストーリー

1913年、パリ。シャンゼリゼ劇場では、ロシアの作曲家ストラヴィンスキー(マッツ・ミケルセン)が、自作《春の祭典》の初演を迎えていた。来場していたデザイナーのココ・シャネル(アナ・ムグラリス)は、まるで催眠術にでもかけられたかのような恍惚感を覚えるが、あまりに斬新かつ急進的すぎるその新作に怒った観客たちは野次を飛ばし、あざ笑い、騒乱まで巻き起こす。自信作だった《春の祭典》を酷評されたストラヴィンスキーは、ただ意気消沈するだけであった……。1920年。すでにデザイナーとして富と名声を手にしながら、初めて心から愛した男、アーサー“ボーイ”カペル(アナトール・トブマン)を事故で亡くし、シャネルは悲しみに暮れていた。一方、ストラヴィンスキーはロシア革命を経た後、全ての財産を失い、難民となりパリで亡命生活を送っていた。そんな中、二人はミシア・セール(ナターシャ・リンディンガー)とセルゲイ・ディアギレフ(グリゴリイ・マヌロフ)の計らいで出逢い、ストラヴィンスキーの才能に惚れ込んだシャネルは、彼が仕事に打ち込めるようにと、ガルシュに所有する自分のヴィラで暮らすよう提案する。彼はすぐさま4人の子供たちと、肺病を患う妻カトリーヌ(エレーナ・モロゾヴァ)を連れて、シャネルのヴィラへと移り住むのだった。至高の芸術を求めるシャネルとストラヴィンスキーは、たちまち恋に落ち、互いを刺激し、高め合い、心を解放し、悲しみさえも活力に変えていく。その恋は、二人の中に眠っていた新たな創造力を次々と開花させた。「女性そのものを感じる香りを創りたい」と、初めて香水創りに魂を注ぐシャネル。そして《春の祭典》の再演に命を賭けるストラヴィンスキー。だが、秘められた恋の行方は思わぬ方向へと向かっていた……。