「天使と悪魔」のストーリー

ヴァチカンの教皇が逝去した。新たな教皇を決めるコンクラーベ(教皇選挙)を前に、有力な候補である4人の枢機卿が誘拐される。その陰には、かつてガリレオを中心とした科学者たちによる秘密組織イルミナティの姿があった。科学を信仰するイルミナティは、宗教を第一義とするヴァチカンからの弾圧によって消滅を余儀なくされた組織だった。しかし彼らの残党は、科学の先端技術によって欧州原子核研究機構が生成することに成功し驚異的な破壊力を持つ「反物質」も盗み出して、ヴァチカン全体の破壊をも計画していた。ヴァチカンからの使者の依頼を受けて、ハーバート大学の宗教象徴学者であるロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)はローマへと向かう。眼球をくり抜かれて殺害された「反物質」の発明者の娘であるヴェトラ(アイェレット・ゾラー)や前教皇の侍従カメルレンゴ(ユアン・マクレガー)と共に、事件の解明に乗り出すラングドンだが、誘拐された枢機卿たちは「土」「空気」「火」「水」のキイワードのまま、ひとりずつ予告殺害されていく。ラングトンもまた、資料室に閉じ込められて生命の危機に晒されるが、なんとか脱出に成功する。イルミナティの拠点は、ネクロポリスにあった。そこに向かって暗殺者を倒したラングドンたちは、爆発寸前の「反物質」を発見する。すでに解除は不可能な状態にある「反物質」を手にしたカメルレンゴは、ヘリコプターに乗って空中高く舞い上がる。自動操縦に切り替えて、パラシュートで脱出するカメルレンゴ。そして、「反物質」は大爆発した。彼の英雄的行為は、ヴァチカンからも高い評価を得て、次期教皇としてその名が急遽浮上するが……。全てはカメルレンゴの策略であったことをラングトンは明らかにする。事件は解決して、ラングドンは枢機卿からガリレオの著書を受け取る。この世に必要なものは、宗教だけでも科学だけでもなく、天使とも悪魔ともなりうる両方の融合だった。