「曙光の森」のストーリー

1869年から1874年にかけてというものはカナダ北西部には未だ法の手が届かず、そこでは獰猛なハーフのジュール・ララガールが、多くの手下のハーフを集め、なおインディアンの種族の援けをかりて跳梁跋扈していた。この地で貿易業を営むアンドレー・オードマールがラガールの命に抗し、その上政府に法の援助を求めた時、ラガールは手下のルュパンとフランソアとをして彼とその妻とを殺さしめた。オードマールには18になるジャンヌ・マリーという娘とその弟ロージュとがいた。その後、ラガールは自らN・W・共和国の假の大統領と号しそれを認めぬ住民には退去を命じた。が、彼は唯一人ジャンヌだけを手許に止めて置いた。追われた住民達が群をなしてこの地を離れてから間もなく彼らはこの地鎭撫のために政府より派遣せられた三百人からなる騎馬警官の一隊に行きあった。住民はこの一隊と共に道をとってかえした。この由を早くも知ってラガールは身を隠した。がリュパンとフランソアとの二人を居残らして置いてジャンヌを誘拐させようとした。そして彼はインディアン達を使嗾してこの一隊の據る根拠地を襲撃しようと計った。一方、ジャンヌは騎馬警官のカリガン警部と恋を語る身になっていたが、ロージェがリュパンとフランソアに嘲られたのを怒り二人を殺した時、ジャンヌがロージェを逃がさんとしたにも拘わらず、カリガンが法を重んじロージェを捕縛したので、ジャンヌは以来カリガンを敵視するようになった。この間に、ラガールはこのポスト司令官マクヴェンを欺いて部下を引率して他の地へ動員せしめ、その留守の手薄なのを見はからってインディアンと共に、一撃このポストを全滅せんと襲撃した。留守を預かる人々はよく防戦した。が、多勢に無勢で敵し難く既に危うく見えた時に、カリガンはこの団を破って一騎マクヴェンの跡を追い、ポストの急を報じた。知らせを得て騎馬隊は救助に殺到してきた。ラガールはその進路を巡るために森に火を放ったが、勇敢なる騎馬の一隊は、その火中を衝き、このラガールの率いる暴徒を一蹴した。この戦の最中にロージェはジャンヌの身を守って命を残すした。が、ラガールは捕らえられ手錠の人となった。そしてこの地に再び平和のめぐり来たった時、ジャンヌとカリガンとの間もまた舊に戻って、二人は楽しい恋を語ったのであった。