「四畳半革命 白夜に死す」のストーリー

学生運動が行き詰まりを見せていた1970年代初頭の日本。横山直也(三元雅芸)は、社会を変えようという熱意に満ちた学生グループの中にあって、思想を持たず、暴力を唯一の自己表現手段とする男だった。グループのリーダー・陽介(藤内正光)の元、確固たる信念もないまま、直也は次々と反対勢力を潰していく。ある時、直也は反対勢力の襲撃を受け、誤って相手を殺害してしまう。深手を負って彷徨っていた彼を助けたのは、買春バーの二階に住み着いているアッコ(結木彩加)。彼女は、変わり行く社会から取り残されたような生活を送る貧しい娼婦だった。親に捨てられ、足が不自由、学校にも行った事がない。売春バーの二階で身体を売るだけの日々。だが、その純粋無垢な笑顔は、周囲の人々に愛されていた。彼女の部屋で隠遁生活を送るうち、直也も次第に彼女に惹かれてゆく。暴力学生と純粋無垢な娼婦の恋。直也の中に徐々に暴力以外の何かが芽生えてゆく。その頃、陽介は殺人犯となった直也を警察より先に見つけようと躍起になっていた。メンバーの中に殺人犯がいたと知れれば、グループはすぐに支持を失う。彼は直也の捜索に部下である女闘士・香(山田慶子)を利用する。一方、アッコに惹かれつつあった直也は、彼女の夢のために学生運動を止めることを決意。ただし、その夢を叶えるためには金が必要だった。彼は陽介と連絡を取り、今までのことと引き換えに、と多額の現金を要求する。要求に応じた陽介と会うために、「ちょっと出てくる」とアッコの元を後にする直也。その言葉にアッコは「男の人は出てゆくとき、みな同じ顔をする」と答えるのだった。だが、取引場所に現れたのは陽介ではなく香。彼女の手に握られていたのは、金ではなかった。直也の腹に深々と突き刺さるナイフ。直也が最後に見たのは、白夜のように眩しい太陽だった……。