「美しすぎる母」のストーリー

1972年11月17日、ロンドン。バーバラ・ベークランド(ジュリアン・ムーア)が、愛する息子アントニー(エディ・レッドメイン)に殺害される。貧しい家庭に育ち、いつかそこから抜け出すことを願って育ったバーバラ。周囲の目を惹く美しい容姿と明るく温和な性格。天性の社交家だった彼女は、大富豪ベークランド家の跡取りブルックス(スティーヴン・ディレイン)と知り合い、結婚。念願かなって貧しい生活から抜け出した彼女は、華やかで刺激的な上流社会の生活を謳歌する。そして待望の息子アントニーも誕生、幸せな日々を過ごす。時が経ち1967年。地中海の港町、スペインのカダケス。アントニーは魅力的な青年に成長する。海辺のレストランで会話をするベークランド家の姿は、一見、仲睦まじくきらびやかな家族であった。しかしその裏では、アントニーがバーバラの上流志向に嫌悪感を示し、ブルックスも冷たい視線を送り始める。1968年。知り合いの出迎えにマジョルカ空港を訪れたバーバラ。彼女はそこで、夫が息子の恋人であるはずのブランカ(エレナ・アナヤ)と一緒にいる姿を目撃する。取り乱し、心の底からの罵声を二人に浴びせ、泣き崩れるバーバラ。夫は彼女との生活を選択し、家族の元を去っていく。心の拠りどころを失ったバーバラは心のない情事、自殺未遂を繰り返す。もはや可憐だった頃の面影は失せ、地に堕ち始める。やがて彼女は、自分の元に唯一残された美しくいとおしい息子アントニーへの依存を高めてゆく。戸惑いながらも父の代わりに母を愛し、守ろうと強く意識していくアントニーと壊れてゆくバーバラ。母子はニューヨーク、パリ、カダケス、マジョルカ、ロンドンと当てもなく彷徨う。世間から取り残された母子だけの生活の中、次第にすれ違って行く感情。小さな感情の綻びがやがて亀裂となり、二人を悲劇的な運命へ導いてゆく……。

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