「memo」のストーリー

閑静な住宅地に住む本橋繭子(韓英恵)は、日常生活の中であるタイミングがくると、紙にメモをとらなくてはいけないという衝動が起こる「強迫性障害」をもった女子高生だった。彼女の「発作」は、時と場所を選ばず、自分すらも関与のできない瞬間に起こる。テストの時間、合唱の練習の時、教室で掃除をしている時にも。ペンと紙が手元にあり、思い立った言葉を書き記すことができれば症状は改善されるが、それができなければ、自分が壊れてしまうというほどの強い不快感に襲われる。いつ何時に「発作」がくるかわからないので、いつも、ポケットにはペンと紙を入れておかなくていけない毎日だった。その症状は、何日かに一回、行きつけの文具店店員(池内博之)から、ノートやメモ帳を大量購入しなければいけないほどで、繭子の生活は、学校と、その病を相談する女性カウンセラー(白石美帆)の元へカウンセリングにいくこと。その二つで成り立っていた。温厚な父・洋平(宅間孝行)とおっとりとした母・道子(高岡早紀)は、そんな病とは全く無縁の両親。だが、繭子の症状を認め、静かな三人暮らしをしている。しかし、そんな繭子と家族の前に、突然、長い間音信不通だった、父の弟である純平(佐藤二朗)がやってくる。驚く家族だが、そのうち純平も「強迫性障害」であるということがわかる。そこから、同じ病いを抱える、繭子と純平の奇妙な交流が始まっていく。繭子も純平も共に病を抱えながらそれを必死で乗り越えようとしていくのだが、繭子は、自身の抱える病が学校で広まってしまいそうになる。また、ある時に、純平の挙動不審な様子を目撃してしまうことに。二人は、自分の抱えた問題をどう乗り越えていくのか……。