「いつか眠りにつく前に」のストーリー

アン・ロード(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)は、長女コンスタンス(ナターシャ・リチャードソン)、次女ニナ(トニ・コレット)に見守られ、死の床にいた。混濁する意識の中でアンは「ハリスと私がバディを殺した」と口走る。40数年前、旧姓アン・グラント(クレア・デインズ)はニューヨークで歌手を目指していた。ある夏の日、親友ライラ・ウィッテンボーンの結婚式でブライズメイドを務めるため、ニューポートにあるウィッテンボーン家の別荘へ行く。ライラの弟バディ(ヒュー・ダンシー)の案内で散策していて、ウィッテンボーン家のメイドの息子で医者のハリス・アーデン(パトリック・ウィルソン)と出会う。ハリスはライラの初恋の相手だった。結婚式のリハーサル・ディナーのあと、泥酔したバディを介抱したハリスとアンは、そのまま口づけを交わす。そしてライラの結婚式のあと、自分の夢についてハリスと語り合ったアンは、親密な絆を感じた。キスを交わすアンとハリスを、アンに思いを寄せるバディが見つめていた。バディはアンと2人きりになり告白するが、アンに断られ、自棄になり海に飛び込む。そんな彼をアンは厳しく叱責する。その夜アンとハリスは、森の中の隠れ家で一夜を共にする。2人を追ってきたバディは、交通事故で命を落とす。翌朝、バディの死を知ったアンは強い罪悪感にかられ、ハリスとの幸せを諦める。アンは2度の結婚・離婚を経て2人の娘を生んだが、歌手として成功もできず、妻や母親としても中途半端な人生を送った。ニナは恋人ルークとの関係にみ、さらに予定外の妊娠をルークに話せずにいた。意識が戻ったアンに、ニナは妊娠のことを打ち明ける。アンは、子供はすばらしい存在だと語る。しばらくしてライラ(メリル・ストリープ)が見舞いに来る。アンは、人生が望み通りにならなかったことの寂しさと後悔を口にする。しかしライラの「私たちは、それぞれすべきことをした」という言葉を聞き、アンは初めて満ち足りた思いがするのだった。