「ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ」のストーリー

沖縄美ら海水族館に赴任してきた新人獣医の植村一也(松山ケンイチ)は、海獣課に配属になる。だが、実際にイルカと触れ合ってこそ獣医として一人前になれると考える館長(山崎努)は、植村に、掃除や餌の準備など飼育係の仕事ばかりをさせる。納得のいかない植村だが、それでも先輩の飼育員とぶつかりあったり、上司から獣医としての心構えを学んだり、と、日々は忙しく過ぎていく。疲れた心を癒すのは、七海(永作博美)のカフェで過ごす一時と、遠距離恋愛中の恋人とのメールのやりとりだった。水族館の人気者、イルカのフジにもようやく受け入れられた頃、フジの尾びれが壊死しはじめていることがわかる。植村の治療や飼育員達の介護もむなしく、壊死は進み、フジは尾びれを切除することになった。一命は取りとめたが、泳ぐ元気を全く失ってしまったフジ。その姿に、少女ミチル(高畑充希)は、ショックを隠しきれない。ミチルは、毎日フジに会うためにこの水族館を訪れている。母親に捨てられたと思いこみ、フジの元気に泳ぐ姿を目にすることで、寂しさを埋めていたのである。植村は、治療に判断ミスがあったのでは、と自分を責め、フジをもう一度元気な姿に戻すため、人工尾びれの製作に向けて動き出す。植村の思いは、周囲の人間を巻き込み、誰もが心を一つにして、フジのために立ち上がろうとしていた。