「アニー(1982)」のストーリー

不景気の1930年代のアメリカ。気のめいるような日々の繰り返しだったが、誰もが、もしかしたら、少しは良くなるかもしれない、明日になれば…と夢みていた。孤児のアニー(アイリーン・クイン)も明日を夢みていた。孤児院を管理しているミス・ハンニガン(キャロル・バーネット)は悪い人ではないが、酔っ払いでむら気で、年中酒くさい息を吹きかけながら少女たちにあたり散らしている。ある日、アニーは脱走に成功。悪ガキたちにいじめられている老犬を助け、サンディと名付けた。だが、アニーは警官につかまり孤児院に逆もどり、サンディもソーセージ工場行きという時、思わぬ訪問者が現われた。億万長者ウォーバックス(アルバート・フィニー)の秘書グレース(アン・ラインキング)で、ウォーバックスは金の亡者という世間のイメージを良くするため、孤児の1人を週末だけ招待しようというのだった。グレースは一目みるなり、アニーが気にいる。かくして、アニーとサンディは五番街にある豪華なウォーバックス邸の客となった。魔法も使える用心棒プンジャブを始め、召使いの大隊が彼女を暖かく迎えてくれた。ところが、ウォーバックス自身は男の子を望んでいたのでむっつりとしている。しかし、その夜遅くサンディが曲者のしかけた爆弾から彼の命を救ったことで、とにかくアニーは滞在できることになった。金儲けしか興味のなかったウォーバックスの心境が少しずつ変化していき、ある時はみんなで、グレタ・ガルボ主演の「椿姫」を見に行ったりした。ウォーバックスはアニーを養女に望んだが、本当の両親と暮らす夢を捨てていないアニーは承知しなかった。そこで、ウォーバックスは5万ドルの賞金をつけ、アニーの両親探しを始めた。邸には両親を自称する人々が押しかけた。その中にはミス・ハンニガンの弟で小悪党のルースターと愛人リリー(バーナデット・ピータース)もいた。2人は姉とグルになり、実は何年も前に死亡しているアニーの両親の残したロケットの片われを持参したので、ウォーバックスもアニーと5万ドルの小切手を渡さざるを得なかった。だが、孤児たちの通報で事実を知ったウォーバックスは、FBI、警察に出動を要請し、自分もグレースと車にとび乗った。車に乗せられたアニーはハネ橋のところで、小切手をひったくって逃げ出し、その後をルースターが追いかける。危ういところでアニーは、プンジャブに救い出される。その後、盛大なパーティーが催され、孤児たちもミス・ハンニガンも、FDRことフランクリン・デラノー・ローズベルト大統領も招かれた。アニーには今やかけがえのないパパとなったウォーバックスと未来のママ、グレースがいた。ウォーバックスにとって、金や権力はすっかり価値を失っていた。明日になれば、もしかしたら、世の中がもっと素敵になるのではと、みんな思っていた。夜空には美しい花火がいくつも光を散らしていた。