「東京小説 乙桜学園祭 人魚姫と王子」のストーリー

白い服しか着ない拒食症の少女ナジュ(つぐみ)には5人の恋人がいる。ダーツの矢で誰と会うかを決める刹那的な関係だ。しかし、5人にはそれぞれ別の恋人がいる。それを知りながらも、孤独を恐れ、その生活を続けるナジュだが、心の闇はさらに深まっていく。シミがつくと消えるまで洗わないと気がすまないナジュには、馴染みのクリーニング店がある。ある日、いつものように汚れた白い服をクリーニングに出すと、アルバイト学生の高瀬(柏原収史)は「もしかしたら落ちないかもしれません」と告げるが、ナジュは「落ちなかったら捨ててください」と構わずに預ける。後日、服を引き取ってから自宅で広げると、見たこともない鮮やかなオレンジ色のワンピースが入っている。クリーニング店に戻るナジュだが、いつも応対してくれる高瀬の姿はなく、他の店員から封筒を渡される。中には高瀬からの手紙と映画のチケットが入っている。手紙には、シミが落ちなかったこと、ナジュを気にかけていたこと、ワンピースをナジュに似合うと思った色に染めてまったこと、そのお詫びの映画のチケットである、ということが書かれている。白い服しか認めなかったナジュに、そのオレンジはまばゆく映る。高瀬の存在も気になりだすが、それ以来、高瀬には会えない日々が続く。後日、もらったチケットで見に行った映画館で、ふたりは再会する。高瀬は色彩学を学んでおり、将来はカラーリストになりたいという夢を話す。それは白い服しか着ない今にも壊れてしまいそうなナジュを見ているうちに決意した夢である、ということを知り、ナジュは高瀬の深い思いやりに触れ、白以外の豊かな色や感情に目覚めていく。やがて季節は流れ、そこには手をつないで、楽しげにデートをするふたりがいる。ナジュは高瀬の染めたワンピースを着て、明るい笑みを浮かべている。

今日は映画何の日?

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