「サンライズ」のストーリー

それは夏のことであった。入江の一方には避暑客で賑わっている都があった。他の一方には静かな村落があった。この村に都から女が来ていた。この女はある農夫を誘惑した。この男は優しい妻との間に子まである仲であったが、都の女に接してからはズルズルに引きづられて家財から牛まで売り払ってしまった。ついには女の勧めに従って妻を殺し、女と2人で都会へ逃げて行こうとまで思った。そして彼は妻をある日、都見物に誘い途中で舟を沈めて妻を亡き者にしようと計った。しかし、最後まで来ると夫はそれができなかった。妻は夫の恐ろしい態度におびえて逃げ出した。夫は妻を追った。そして2人は都へ出てしまった。やがて夫は昔の心を取り戻した。妻にも夫の真心が感じられた。そして2人は1日を楽しく都で過ごした。が、その帰りの夜、再び入江を舟で渡って来る時、急に大暴風雨が起こり夫の命限りの努力も効なく、舟は沈んで夫婦は別れ別れとなった。夫は村人の助けを得て湖上を隈なく探したが妻の姿は見出されなかった。都の女は夫が自分の勧めに従って妻を殺したものと喜んだが、夫は女を見ると憤りに燃えてそれを締め殺そうとした。時に、はからずも妻が助かった報せが来た。夫は急いで家へ戻って行った。そして翌朝に至るまで、妻の看護をしながら梅悟の涙に咽びつつ、真の愛を誓っていた。やがて暁の日の光りがこの村の上にさし初めた。2人はそれを眺めながら抱き合った。