「ハリヨの夏」のストーリー

父(柄本明)がハリヨをくれた。オスが卵を育てる魚だ。私は京都に暮らす高校3年生の瑞穂(於保佐代子)。父とは別居中で、母(風吹ジュン)と妹と暮らしている。同級生の翔(高良健吾)は、キスを迫っても、潔癖だからか、何もしない。母親の働く居酒屋で、どこか翳りのあるアメリカ人チャーリー(キャメロン・スティール)に会う。彼はベトナム戦争で片脚を負傷し、離婚して娘がひとりいる。私と同じ孤独感を持つチャーリー。私たちは、結ばれる。そして、妊娠。チャーリーも母も堕ろすことしか頭にない。でも結局、私と母で赤ちゃんを育てることになる。そのころハリヨのオスは息絶える。死骸を戻すため、赤ちゃんを抱いて川に行く。少し進むと、急になった川の流れに脚をとられてしまう。懸命に水の中でもがく。そうしているうち、私は生まれて初めて泳いでいた! 落としてしまった赤ちゃんも、無事に腕の中に取り戻す。私は自分の力で生きていける。娘と一緒に生きていこう。散歩中、翔とばったり出くわす。大学生になった翔は、まぶしくもあり、幼くも見える。話が続かなくなった私たちは、別々の方向へ、進む。私は、赤ちゃんと一緒に、胸を張って歩きつづける。