「サロメ(1923)」のストーリー

ユダヤの王ヘロドはローマ皇帝の力を借りて、正当なる王を追い却け、王位に即いて暴虐な為、人々の恨みの的となっている。ヘロドは我が位置を固めん為に王の妹ミリアムを后とする。ミリアムの腹心の者と、その兄とは、ダヴィッドを大僧正に任命する様にヘロド王に懇願したが、人民の味方であるダヴィッドをはばかって居る王は仲々承う様子も無かった。時に王の従妹で宮廷の花と唱われたサロメが王を煽動するので、王の心も漸く動き彼等の望みに同意した。然し腹に一物あるサロメは、自分に恋している衛兵の長セジャナスに命じてダヴィッドを溺れさせて命を奪ってしまう。神の福音を説く予言者ジョンの風評は、サロメの耳にも伝わって来た。彼女はジョンを町へ招いたが、一目彼の姿を見るや、姫の眼は情熱に燃え、ジョンを我身のものとせんと深く心に決した。しかしジョンは姫の言葉には耳も貸さない。サロメは后のミリアムが次第に勢力を得て行くのを見て心安からず、王がローマに出発の前、后から受けた盃中の酒に毒を混ぜて、ことさら王の飲むを止め、毒酒なるを証して王と后との仲を割く。ヘロドがローマから帰国した時、サロメはミリアムに、王は彼女の兄を殺す命令を発したから、兄を助けんと思わば、王を今宵の中に殺してはと、言葉巧みに勧め、ミリアムは短剣片手に王の寝所へ忍び込む。そこへサロメが不意に物蔭から現れ、后の刄を止め、王をして后を馘らしめてしまう。ヘロド王が将軍連を招いて盛大な餐宴を張る晩が来た。その席上サロメは七色衣の舞を舞って、その褒美として生血の滴るジョンの首を求める。サロメがジョンの冷たい唇に接吻した時、大暴風が宮廷の中に渦巻いた。神の怒りと怖れたヘロド王は、兵士に命じてサロメを楯の下に惨殺させる。