「さよならミス・ワイコフ」のストーリー

イブリン・ワイコフ(アン・ヘイウッド)は、カンザス州フリーダムの高校で、ラテン語の教師をしていた。彼女の楽しみはせいぜい同僚のベス(キャロリン・ジョーンズ)らと催すささやかなパーティーで、雑談したりすることぐらいだった。そんな彼女を時々原因不明の変調が襲った。授業中喚きたくなったり、みんなが退屈しきっているピアノの演奏会で涙を流したり、気分はふさぎがちになり、下宿に閉じこもることが多かった。ベスらに進められて、ワイコフは、しぶしぶニール医師(ロバート・ボーン)の元に診断を受けにいった。彼は、学生時代に、ワイコフが秘かに憧れていた男性だ。ワイコフは彼の口から屈辱的な宣告を聞かなくてはならなかった。35歳にして彼女はまだ処女であり、この不安定な精神は、更年期障害からきていると……。ニール医師の紹介で、ワイコフは精神医科シュタイナー(ドナルド・プレゼンス)を訪れた。シュタイナーは、幼い頃、目にした両親の不和が、彼女のセックスへの恐怖につながったのではないか、という見解を下した。そんな頃、彼女は、運転手のエド(アール・ホリマン)と知り合いになるが、彼には妻子がいることを知り、誘惑を拒否した。ある放課後、ワイコフが、教室に居残って採点していると、臨時用職員のレイフ(ジョン・ラファイエット)が掃除しにやってきた。彼はフットボールの花形選手で、アルバイトで高校に来ている黒人の短大生だ。性格は尊大で嫌われ者だった。彼は、ワイコフの前に立ちはだかり、作業服のジッパーを下ろした。うろたえたワイコフはその場を去ったが、校長にはそのことを報告しなかった。翌日、又も居残っているワイコフを見て、レイフはドアに鍵をかけ、彼女を机に押さえつけて犯した。こうしてレイフとの密会が始まった。ワイコフは初めての男に翻弄されるがままだった。ある夕方、教室からワイコフの悲鳴を聞いてかけつけたアルバイト用務員が、そこでおぞましい現場を目撃した。レイフをまたがらせたワイコフが胸にスティームを押しあてられて叫んでいたのだ。うわさは全校に広まり、ワイコフは職を追われた。死ぬつもりで睡眠薬を手に部屋に入った彼女は、しかし、それをバラバラと壁に投げつけ、トランクをもって階下に降りタクシーを呼んだ。今はつめたいかつての友人ベスと会ったワイコフは「恥ずかしいとは思っていない」と言い、タクシーに乗るのだった。