「同じ月を見ている」のストーリー

10歳の時に出会った恋人・エミの心臓病を治すべく、医者の道を歩む青年・鉄矢のもとに、ある知らせが届いた。それは、7年前、山火事を起こしエミの父親の命を奪って逮捕された幼なじみのドンが、刑務所を脱走したと言うものだった。激しい不安が鉄矢を襲う。彼は、人の心を読む不思議な能力を持つドンに、エミを奪われるのではないかと怖れていたのだ。だが、ドンはふたりの結婚を祝福する為に描いた絵を届けたい一心で脱獄を図っただけだった。途中、ヤクザの金子と知り合い、彼の手助けを得て鉄矢とエミの暮らすマンションに辿り着いたドン。ところが、エミとの再会を目前にそれを鉄矢に遮られた彼は、鉄矢の気持ちを察し二度とふたりの前に姿を現さない約束をして消息を絶つ。鉄矢がここまでするのには、大きな理由があった。実は、山火事を起こしたのは鉄矢だったのである。彼は、ドンの口からそれが漏れるのを怖れたのだ。しかし、自分の弱さと対峙した鉄矢は、自らの非を認め、ドンに会うことを決意。エミと共に、ドンのいる山形へ車を走らせるのであった。ところが、ふたりを待っていたのは7年前と同じ山火事だった。火事に巻き込まれた少年を助けるべく、火中へ飛び込むドン。それを追って、鉄矢も飛び込んだ。だが、少年は一命を取り留めたものの、ドンを助けることは出来なかった。その後、ドンの心臓が少年に移植された。手術は成功し、少年の命は救われる。そんな少年に、鉄矢はドンの命が受け継がれていることを確信するのであった。