「親切なクムジャさん」のストーリー

サンタクロースの衣装を着た聖歌隊と伝道師が、“親切なクムジャさん”と呼ばれている女性を待っている。刑務所から出所した女たちは、待ち構えていた家族と抱き合ったり、「心を白くして二度と刑務所に戻らないように」豆腐を食べている。そんな中を、冬だというのに水玉のワンピース姿の女性が無表情で歩いてくる。イ・クムジャ(イ・ヨンエ)。20歳のときに「ウォンモ君誘拐事件」の犯人として逮捕され、その美貌と残忍な手口により世間を騒然とさせた女だ。13年の刑期を終えた彼女は、逮捕された時と同じワンピースを着て出てきたのだった。刑務所にいた時からクムジャを支援してきた伝道師(キム・ビョンオク)が差し出した豆腐の皿を、彼女は片手でひっくり返し、「余計なお世話です」とぴしゃりと言って、立ち去っていく。刑務所の中で、クムジャは、他の囚人にいじめられた新入りの代わりに復讐を施したり、老いた元北朝鮮スパイの世話をして、この世の天使のように崇められ、“親切なクムジャさん”と呼ばれるようになったのだった。その顔からは光が放たれていたという。だが、出所した彼女からは、刑務所にいたときの聖母のような微笑みは消えていた。3年前から心に決めていた作戦を、開始する時が来たのだ。クムジャはまず、ソウルに出てウォンモ君の両親を訪ね、その目の前で自分の指を切断し、許しを請う。それから、刑務所でケーキ作りを教えてくれたチャン氏(オ・ダルス)のケーキ店“ナルセ”で働き始める。刑務所時代、クムジャは粗末な材料で極上のケーキを作り上げ、チャン氏を絶句させたのだった。そして、先に出所していた囚人仲間たちを訪ねる。みんな彼女に恩義を感じていて、彼女の頼みなら何でも聞いてくれるのだった。クムジャは18歳の時に妊娠し、教育実習に来ていたペク先生(チェ・ミンシク)に助けを求めた。そのペク先生は、身代金目当てにウォンモ君を誘拐して殺した上、クムジャが罪をかぶって自首しなければ幼い娘を殺すと脅したのだった。そして彼女が刑務所に入ると、ペク先生は娘をオーストラリアに養子に出してしまった。今、彼女は養子斡旋所から書類を盗み、娘の居所を突き止めてオーストラリアに飛ぶ。元ヒッピーの養父母に溺愛され、ジェニー(クォン・イェヨン)は13歳に成長していた。ジェニーはどうしてもクムジャさんと一緒にソウルに行きたいと言い張り、2人は一緒にソウルに戻ってくる。ペク先生は子供相手の英会話塾の教師になっていたことを、先に出所したスギョンが探しあて、その塾に就職したソンウンが、彼が車を買い替えることを聞きつけ、美貌の自動車販売員イジョンがペク先生を訪ねて、結婚したのだった。だが、あの伝道師がクムジャを尾行し、イジョンと一緒にいる写真を撮り、ペク先生にその情報を売り渡す。彼は男2人を雇い、クムジャとジェニーを夜道で襲わせるが、クムジャは冷静に対処して男たちをやっつける。イジョンはペク先生にさんざん暴力をふるわれたが、クムジャが彼らの家に踏み込み、ついにペク先生を拉致する。そして、ペク先生を乗せた車が雪深い山奥の廃校に到着する“親切なクムジャさん”の本領発揮は、そこからが始まりだった。

今日は映画何の日?

注目記事