「NOTHING ナッシング」のストーリー

カナダ、トロント。デイブ(デビッド・ヒューレット)とアンドリュー(アンドリュー・ミラー)は9歳からの友人で10年来のルームメイト。デイブは、自己中心的で協調性がなく人の輪に溶け込めない嫌われ者。アンドリューは極度の心配性と幼い頃からのいじめや両親との死別が原因で、家から一歩も外に出られず、引きこもっている。世間にうまくなじめない二人は、デイブが外で働き、アンドリューが家の中のことをすることで、互いの欠点をおぎないながら楽しく生活していた。今日までは…。ある朝、デイブが突然、家を出ることをアンドリューに宣言する。最近できたガールフレンドのサラ(マリー=ジョゼ・クローズ)と一緒に住むのだという。家から一歩も外に出られないアンドリューは「デイブなしには生活できない」と思いとどまるよう説得するが、デイブは「おまえの面倒をみるのはもうウンザリだ」と言って、出て行ってしまう。新しい一歩を踏み出したデイブは、世の中に怖いものなど何もないような気分になり、意気揚々と会社に到着する。上司に呼び出され、勝手に昇進だと思い込んでいたデイブだが、なぜかクビの宣告をされてしまう。全く身に覚えのない横領容疑をかけられていたのだ。ショックと失望感に打ちのめされた彼はサラのアパートに向かう。そして、自信満々に「一緒に暮らそう」と提案するが、サラは鼻で笑い「あなたのことなんか愛していない、会社から金を横領したのは私よ」と真実を語った。仕事と恋人をいっぺんに失い、意気消沈したデイブは、アンドリューの待つ家に帰っていく。アンドリューの一日も同じように最悪だった。ルームメイトがいなくなった彼は、家の外に出なければ生活できない。まずはゴミを集積所に出すことだ。恐る恐る家の外に出た途端、風でドアが閉まってしまい、運悪く鍵までかかり、閉め出されてしまった。そこにたまたま訪れたガールスカウトの子が、機転をきかせて鍵を開け、アンドリューを家に戻してくれる。そして彼女はアンドリューをなだめようとしてくれるが、家に他人がいるという事実はアンドリューの狂乱状態を悪化させ、彼は高圧的な口調で彼女に出て行くように言い放つ。帰宅したデイブは、結局出ていかないことにしたとアンドリューに宣言。これからも二人で楽しく暮らしていこうと思った翌日、市役所の職員(ゴードン・ピンセント)が玄関先にやってきて、二人の家が違法建築であり今日の午後3時に取り壊されることを告げる。二人は慌てふためくが、なす術もなく時間が経っていく。やがて、午後2時49分、取り壊しを担当する業者が立ち退きを言い渡しに来たのと同時に、ガールスカウトの子の母親がやってきて、幼女暴行でアンドリューを告発すると告げる。助けてあげたのに冷たい仕打ちをされた女の子が、腹いせに母親に嘘をついたのだ。不幸はそれだけでは終わらない。横領罪でデイブを逮捕するためにカナダ騎馬警察までやってきた。急に降りかかった災難にパニックを起こし、あらゆる物事に嫌気がさしたデイブとアンドリューは異口同音に叫ぶ「放っといてくれ!」。その途端、二人はまったくの静けさと無の中に取り残される。外を覗くと、軒先まで家が存在しているが、その先には何もない。ただただ、だだっ広くて眩しい”無の世界”が広がっているだけだ。疑問だらけの中で、彼らはある”能力”に気がつく。果たしてその”能力”が彼らにもたらすものは?

今日は映画何の日?

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