「殺人課」のストーリー

FBIがブラック・パンサーの麻薬の売人ランドルフ(ヴィング・レイムス)の逮捕に失敗し、その任がボルチモア警察の殺人課に廻ってきた。腕利きの交渉係ボビー・ゴールド刑事(ジョー・マンティーニャ)はランドルフの潜伏先に逮捕に行く途中、小さな商店主の老婆殺害現場に居合わせ、署長から強引にその事件の担当にされてしまう。老婆は政治的影響の大きなユダヤ人の1人で、遺族が同じユダヤ人であるゴールドに捜査を担当することを望んだのだ。被害者の近親者たちは反ユダヤ組織の犯行だと主張したが、ゴールドは馬鹿げたことと相手にしなかった。その夜、彼女らの家が狙撃され、狙撃現場には<GROFAZ>と書かれた紙切れが残されていた。それがGrobter Feldherv Aller Zeiten=歴史上最も偉大な戦略家、つまりヒトラーの略だと知ったゴールドはネオ・ナチの犯行ではないかと疑い始める。彼は図書館から反ナチ関係の書類を借り出してある住所へ行くと、そこではユダヤの老人たちが会合を開いていた。殺された老婆は一九四六年のイスラエル独立運動当時、小銃を密輸していたが、彼らはその仲間だった。彼らはゴールドにそのナンバーのリストの返却を求めるが、刑事である彼はそれを拒んだ。しかし、ゴールドは彼らに強く心を動かされた。彼は自分が常日ごろからユダヤ人として不当に差別されていると感じていたからだ。彼はネオ・ナチの玩具屋を爆破する彼らの計画に参加した。だが、彼らにその現場の写真を撮られ、リストの返却を強引に迫られることになった。その時、ゴールドは彼自身がランドルフの母親に息子の生命を保証する代わりに聞き出した潜伏場所への検挙の時刻を過ぎていることを思い出し現場に向かうと、そこは地獄だった。相棒はゴールドの役割を演じようとして失敗して死んでいた。ゴールドは自責の念から無茶な飛び込みをし、重傷を負った。ランドルフは応援の警官たちに射殺された。ようやくゴールドが退院したとき、刑事仲間の態度はよそよそしく、殺人課からは外されていた。老婆殺しの犯人も捕らわれていた。金目当ての貧しい青年の犯行だった。GROFAZとはただのハトの餌の名前だったのだ。