「殺意の香り」のストーリー

ニューヨーク、マンハッタンの夜。1人の男が通りに止めてある車を盗もうと、鍵をこわしてドアを開けると、中から男の死体がころがり出た。精神分析医のサム・ライス(ロイ・シャイダー)は留守番電話で妻からのメッセージを聞いていた。彼らの離婚が正式に成立したというものだ。その時、ブロンドの、美しいが何か怯えたような表情の女性がサムを尋ねてやってきた。彼女はブルック・レイノルズ(メリル・ストリープ)と名のり、車の中で殺されていた男、ジョージ・バイナムの助手として、クリスピンズ・オークション・ギャラリーで働いているとサムに告げた。バイナムがサムの患者だったことを知っていたブルックはバイナムが彼女のアパートに忘れていった腕時計を彼の妻に返してほしいと頼んだ。その時、殺人課のヴィトゥッキ刑事(ジョー・グリファシー)がやって来た。ブルックは慌てるあまり、サムの机上にあった小像を壊してしまい、そのままその場を去った。バイナムの症状や交友関係を知りたいという刑事に、患者の秘密は話せないと断わるサム。その夜おそく、サムは、バイナムのファイルを診察室で読み、第1回目からの彼の症状を再検討した。「ジョージ・バイナム、47歳。既婚。不眠症を訴える」。バイナムは2年前から週2回、サムの所に通っていろいろな事を話した。仕事のこと、美術品のこと、そして愛人ブルックのこと。サムがアパートに帰ると、母グレイス(ジェシカ・タンディ)が彼のおじの家でのパーティーに誘いに来た。彼女も精神病医でサムにはよき先輩にあたる。母をなだめて、そのパーティーには欠席することにしたサムは、地下のランドリー・ルームで、1人洗濯しながらファイルのことを思い出していた。「もしも、知り合いの女性が殺人犯で、自分だけがそれを知っていたらどうするか」などと口ばしったバイナムの言葉など…。その時、外で物音を感じたサムがエレベーターの所に行くと、その中にブルックがいた。壊した小像のかわりにギリシャ時代の小像をもってきたというのだ。そしてバイナムのことは愛していなかったと告げて帰った。翌日、サムはバイナムの働いていたクリスピンズを訪れた。受け付けで彼を待っていたブルックの同僚ゲイル(サラ・ボッツフォード)は、作業場などを歩きながら、オークションのことなどについて彼に説明した。そこでヴィトゥッキ刑事に会ったサムは、彼から、バイナム殺しは、女だとわかったこと、妻にはアリバイがあったことなどを知らせた。その夜、ブルックがサムのアパートを訪れ、刑事に何を言ったかとどなり込んできた。そして犯行のあった夜、ブルックはバイナムに会っており、喧嘩別れしたことを告白した。彼女がバイナムに別れ話をしたことが原因だった。ある夜、セントラル・パークで不審な女の姿を見かけたサムが尾行して姿を見失った直後、サムのコートを盗んで着た強盗がサムの身がわりに殺された。クリスピンズでオークションが行なわれる日、ブルックが入札者からの電話を受け付け始めたスキに、ブルックのオフィスに忍び込んだサムは、そこでイタリアの新聞の古い切り抜きを発見した。それはフロレンスで起こった不自然な死を報じた記事だった。とその時、ブルックが入って来た。彼女は無言のままオークションの会場へと戻っていった。やがてその会場にヴィトゥッキがやって来た。サムはわざと1枚の絵をせり落とし、ブルックに逃げるように、そして夜、マディソン通りで待っているとメモで伝言した。しかし、その夜ブルックは現れず、ゲイルから、ロング・アイランドの海辺の彼女の両親の家を聞いたサムは、1人その家に向かった。家の中に入ると、暗闇に1人座るブルックの姿があった。彼女は、ゆっくり自分のことを語り出した。あの新聞の切り抜きに出ていた人物は自分の父で、金のためならどんなことでもした。母と離婚し、母がアル中で死んでその遺産をブルックが相続することになった時、殺意を感じた彼女が身をよけた拍子にあやまって教会の鐘楼の手すりから父が落ちたこと。そしてそのことをバイナムだけが知っていたことなどを打ち明けた。サムは、以前にバイナムが語った夢の話をブルックに語った。「グリーン・ボックスの女に関っていてうまく操っているつもりがこじれている。彼女は子供っぽいが、その実、恐ろしい事も平気でする女」。その時、ブルックは犯人がゲイルだと叫んだ。いつも現金を持ち歩いているゲイルはグリーンバックス、つまりドル札、というアダ名があったのだ。ゲイルはかつてバイナムの愛人で、ブルックに嫉妬しており、バイナムを殺してブルックに容疑が向くように仕組んでいたのだ。しかしその兇器の刃はサムとブルックにも向けられていた。サムを車の中で傷つけ、家にいたブルックを襲うゲイル。しかしその瞬間ベランダの手すりからあやまって墜落するのだった。

今日は映画何の日?

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