「青い車」のストーリー

子供のときの大事故で片目に大きな傷を負ったリチオ(ARATA)。その頃から、死に損なったような今の自分を、子供の自分がどこからか見ているような気がしている。傷を隠すために大きなサングラスをしているリチオは、バツイチの店長マチダ(田口トモロヲ)がやってる中古レコード店に勤めながら、時々クラブでDJをしている。いいようのないイラ立ち。ただなんとなくやり過ごす日々。恋人は、不動産会社に勤めるアケミ(麻生久美子)。順調ともいえるし、倦怠ともいえる関係。アケミには高校生の妹・このみ(宮崎あおい)がいる。ある日、このみとリチオは街でばったり会う。名前も覚えてくれていないリチオをこのみは昼食に誘い、その後リチオの部屋へ行く。サングラスをとったリチオの顔が見たいと言うこのみ。リチオは自嘲気味に笑うと、このみにキスする。ゆっくりと外されるサングラス。現れた片目の傷。このみはリチオの顔を見て言う「かけてない方がいい」。アケミは、リチオの手首にある無数の傷に気付きながらも、いつも聞けずにいた。「ずっと幸せだったらいいな」ぼんやりとアケミがつぶやく。リチオは答える「そうな…」。アケミにもこのみにも言えない苛立ちを抱えたまま、毎夜不穏な夢に悩まされていたリチオは、もう会うのをやめようとこのみに告げる。そんなとき、出張で熱海に向かっていたアケミが、交通事故で死ぬ。リチオは、夜ひとりで青い車を走らせてカーブに差し掛かると目を閉じ、急ブレーキを踏んだ。よみがえるアケミの笑顔。ふと見ると、助手席には子供の頃の自分が座っている。リチオは、その子に言う「…教えてやるよ。あれからどんなことがあったか」。そんなある日、両手いっぱいの花束を抱えたこのみが、リチオの前に現れた。その花束を、海に投げるのだと言う。ふたりは青い車に乗って、高速道路を走らせる。やがて広がる輝く海。このみの目からこぼれ落ちる涙。このみはリチオに、ある告白をする。

今日は映画何の日?

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