「歌舞伎町案内人」のストーリー

日本がバブルで湧く頃、就学ビザで来日した李暁強(チュ-ヤン)と親友の劉剛(山本太郎)。二人は将来を語り、励まし合い、「いつかは成功して、中国社会に貢献したい」という夢をもっていた。二人は学費と生活費を稼ぐために、新宿・歌舞伎町であらゆる仕事に就くが、後を追って来日し、お見合いパブのサクラとなった李の妻・愛梅(李丹)の稼ぎには叶わず、やがて、夫婦の間にはいつしかヒビが入る。あるとき、「10万人の就学生受け入れ」という日本政府の方針は、バブル崩壊と共に転換され、不法就学者を厳しく取り締まることになってから、彼らの運命は大きく変わっていく。被服学校に入学し再度の就学ビザで生き延び、歌舞伎町でのティッシュ配りで生活をつなぐ李は、ある日、中国人観光客を知り合いの店に案内し、チップをもらったことから、中国人専門の「案内人」(ガイド)がビジネスとして成立することを確信する。かたや、劉はビザを失い姿を消し、愛梅には愛想を尽かされ、李は歌舞伎町で一人生き抜く決心をする。ある日、キャッチの黒服に襲われた李は、この歌舞伎町で商売をするにはヤクザの後ろ盾が必要なことを悟り、助けてくれた人のいいヤクザ・マナブちゃん(舞の海)に「ケツ持ち」になってもらう。自腹を切って店で遊び、客の目線に立ってガイドをする彼の手法は評判を呼び、就学生仲間をメンバーに加え仕事を拡充していく。持ち前の明るさで、地場のヤクザや新宿署のナガタ刑事(ガッツ石松)らと軽妙に渡り合い、知り合った日本人女性、ユキ(坂井真紀)と結婚する。ユキとの間に子供も生まれ、幸せな生活を手に入れた李であったが、バブル経済がはじけた歌舞伎町では裏の勢力図が変わり始めていた。香港返還、自由化策と勢いづく隣国中国からのマフィアが流れ込んできたのである。そんな時、かつての親友、劉が帰ってきた。だが、背中には刺青があった。持ち前のしたたかさと機転を活かし、あるときはヤクザの庇護を受けながらも、大好きな歌舞伎町でビジネスを順調に伸ばしていく李と、中堅ヤクザとしてこの街に帰ってきたかつての大親友・劉。歓楽街の闇に流れる物悲しいハミングは、やがて二人の生き様を運命づける鎮魂の序曲となってゆく。

今日は映画何の日?

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