「当たって砕けろ(1929)」のストーリー

貧弱な姿をしたジェリー・ウィラード(グレン・トライオン)は、勤め先の出版社から解雇された。彼がオフィスから出て行こうとすると、入れ違いに入ってきたのはアン・ロジャース(スー・キャロル)という娘であった。アンは父親の書いた『精神一到何事か成らざらん』という本を出版してもらおうと、幾度も出版社へ無駄足を踏んでいたのである。アンはジェリーを出版主のワトスン(リチャード・カーライル)と思い込み、無理矢理彼の手に原稿を押しつけて、立ち去っていく。取り残されたジェリーはなんとなく原稿を読み、大いに感動してしまう。彼はこの原稿をワトスンに売り込もうと、ワトスンのホテルへ行く。しかしアンはこのホテルの交換台で働いていたのでジェリーの身許がばれてしまい、その上交渉は不首尾に終わる。しかし原稿に刺激された上、アンに恋心を感じたジェリーは、是が非でもこの本を出版しなければならないと決心し、その夜またワトスンを訪れる、このホテルで催される出版業者の集会で、ワトスンに原稿を読ませ、なんらかの回答を得ようというのだ。ところがジェリーが服を預けておいた洋服屋が火事になり、ジェリーにはは着ていくに服がない。しかし、この機を外しては一大事なので、下着一枚の上に毛衣のコートを羽織ってジェリーはワトスンのところへ行く。だが苦心も甲斐なく、彼はまたもワトスンから断られる。おまけにワトスンは洗濯屋が間違えて持ってきたタキシードを、取替えてくるようジェリーに命じる。これは又とないチャンスだった。ジェリーはタキシードを洗濯屋には持っていかずに自分で着て、集会に現われたのである。そしてジェリーは人々を前にして、『精神一到何事か成らざらん』の素晴らしさについて熱弁をふるう。その結果どうなったのかは、ワトスンがジェリーを自社のパートナーに契約したことで、うかがえるだろう。そしてジェリーがめでたくアンと結婚したことは、言うまでもない。