「最後のインディアン」のストーリー

アメリカ南西部のインディアン保留地で、管理者たちのいちばんの頭痛の種はフラッピング・イーグル(アンソニー・クイン)である。大男のインディアンで、気位高く、たえず絶望感や虚無感に打ちひしがれている部族の連中を勇気づけている。このフラップの仲間はジャーナリスト志望の若いイレブン・スノーフレイク(トニー・ビル)、樫の木の扉のような頑丈な体格のロボ・ジャクソン(クロード・エイキンズ)、法律やインディアン協約について専門家顔負けの“傷ついた熊”ことミスター・スミス(ヴィクター・ジョリー)たちである。彼らに対立するのが白人との混血で、フラップを腹の底から憎んでいるタフな警部ラファーティ(ヴィクター・フレンチ)、“広場”の経営者ミスター・ストアキーパー(ロドルフォ・アコスタ)、多くの犬を飼っている老いたインディアンのシルビー・バック・プレティスーン(ペドロ・レガス)などである。インディアンの1人の病気の娘に、意地悪くあたる道路工事の監督官マイク・ライオンズ(ドン・コリア)に腹を立てたフラップは、マイクと大喧嘩となる。さらに血みどろの殴り合いを続け、ラファーティ警部の仲裁で仲直りすると、不思議に、それ以後2人は無二の喧嘩友達となった。ある日、インディアンの窮状を社会に訴えるために奔走するミスター・スミスが、1884年協約の条文中に、放置されてあるものはすべてインディアンの所有に帰属すると書かれている事実を発見する。さっそくフラップは走る列車の機関車だけを切り離し、まんまと貨車を保留地内に引き込み、これを放置された物件と見なして、積み込んであった動物たちは全部自分たちに帰属すると宣言して、新聞屋たちが騒ぎ出すように画策した。この計画は見事に当たりラファーティは大いに怒った。腹立ちまぎれにラファーティたちは、プレティスーンの犬たちを殺してしまい、ショックでプレティスーンはあっけなく死んでしまった。激怒したフラップは、ラファーティを半殺しの目に合わせ、愛馬“水爆”を駆って山の中へ逃げ込んだ。追跡する警察のヘリコプターを、フラップは得意の投げ縄で、それを地上に引っ張り落とすという荒業までやってのけた後、逃走しながら考えた。史上最大最後のインディアン蜂起は今だと--。1853年の協約によると「保留地内に住んでいるインディアンや家畜を白人が理由もなく殺した場合は、人間が日の出から正午までに歩くことのできるだけの広さの土地をインディアンに返すべし」とある。ラファーティが勝手気ままに犬を殺したのだから、インディアンたちはフェニックス市を含む広大な土地を手に入れることができるのだ。フラップは、インディアンのデモ隊の代表としてフェニックスの市役所にのりこみ、市長代理に面会し、「われわれはあんたたちの立ち退き要求したりしない。今まで通り事務所や住居を使用してもよろしい。あんたたちがわれわれの土地や家をむりやり没収したときのようなことは絶対しないから安心したまえ」と宣言した。しかし、“水爆”にまたがって、白人たちに平等の権利を訴えるフラップは、突然、銃声とともに倒れた。ラファーティの仕業であった。インディアン最後の戦士は倒れたが、フラップの遺志をついで立ち上がったイレブン・スノーフレイクたちは、平等の権利を獲得するため怒りをこめて闘い続けるのだった。(ワーナー配給*1時間46分)