「五十六番街の家」のストーリー

女優のペギイにはフィスクというパトロンがあったが、モンティ・ヴァン・タイルという若い名門の息子から求愛されると彼女はとうとうフィスクと手を切って、この金持ちのお坊ちゃんと結婚する。欧州への蜜月旅行を終えてニューヨークへ帰るとモンティは留守中秘かに彼女のために56番街に新邸を建てさせていた。やがて可愛い女児が生まれると今までこの結婚に反対していたモンティの母もようやく折れてきたのでペギイは幸福な日々を送った。ところが昔のパトロンのフィスクはペギイと別れた後も彼女のことを忘れえず悶々の日を送り健康を害していて彼女に見舞に来てくれと切に頼むので、彼女も仕方なく見舞に行く。そしてこれきりで来ないと告げると失望の余りフィスクは拳銃を取り出して自殺を企て、彼女が止めようとした途端拳銃が発射してフィスクは倒れる。モンティが妻を救おうと努力した甲斐もなく、彼女は懲役20年を宣告される。彼女は幼い子供のエリナーにこのことを知らせぬために離婚の手続きをしてもらう。数年後世界大戦が勃発し、モンティも従軍するが、ある日ペギイはモンティが戦死した通知を受け取る。やがて刑期満ちて出獄したペギイはモンティが彼女のために若干の遺産を分けて於てくれたので、娘の幸福のために永久にニューヨークを去ろうと欧州へ旅立つ。船中で彼女は博徒のブレインに会い勝負を試みるが、彼女が博徒だった父親に仕込まれて女ながらもすごい腕前なのに感心したブレインは、彼女を説いて仲間にし欧州航路の定期船を稼ぎ場に船客の金を巻き上げる。間もなくその評判が高まったので2人はニューヨークで新たに博徒場を開いたボネリという親分のところに身を寄せる。ところがその家こそは彼女が楽しい新婚時代を過ごした思い出多い56番街の家だった。ある夜そこへ友達と一緒に現われた若い有閑マデムこそペギイが忘れ得ぬ娘エリナーだった。母の血を受けてエリナーもまた勝負事が好きだった。娘をこらしめるためにペギイは彼女をうんと負かした。エリナーはこれが夫に知れては離婚されるからと支払の猶予を哀願する野で、娘のためにペギイは借用書を破ろうとする。しかしどうもとのボネリは承知せずブレインに命じて督促させる。ブレインが彼女の夫に電話を掛け様とすると堪りかねたエリナーはその場にあった拳銃でブレインを射殺する。銃声を聞いて駆け付けたペギイはエリナーを急ぎ立ち去れせ、自分が殺したとボネリに告げる。ボネリは彼女の度胸と手腕に感じ、彼女が店にと留まって一緒に金儲けをしてくれるなら後始末は引受様と言うので、彼女も思い出多いこの家にいつまでの留まることにする。