「あしやからの飛行」のストーリー

台風の東シナ海。海軍の大型水陸両用機が、日本の遭難船救助のため芦屋基地を飛び立った。スティーヴンソン(リチャード・ウィドマーク)指揮の機には、グレッグ(ジョージ・チャキリス)やパラシュート隊のマイク高島(ユル・ブリンナー)が搭乗していた。彼ら3人には、三様の苦い思い出がある。それは戦争という時局の皮肉な運命の翻弄でもあった。救助作業の途中で事故を誘発させたグレッグ、日本軍人に妻を殺されたスティーヴンソン、恋人を目前で自分のダイナマイトで殺してしまった、マイク。遭難者を発見した。1番機は勇敢に着水するが、高いうねりに激突し、火を発して波間に消える。3人は僚機の遭難に暗然とするが、今にも波に呑まれそうな人たちを見逃がすことはできない。マイクはパラシュートで決死のダイビングを試み、無事降下、生存者たちを救命ボートに移しかえることに成功した。だが重傷の女子供のいることを知って、マイクはスティーヴンソンに直ちに強行着水を要請する。スティーヴンソンは憎むべき日本人に対する怒りから、一時はそれを拒否するが、命を賭して着水を決意、辛うじて成功する。そして芦屋基地。無事帰還した隊員たちは、遭難者たちの感謝のまなざしを背後に感じながら、散って行った。だが、人々の喜びをよそに、飛行場の片隅にいつまでも立ちつくす人たちがいた。それは遭難した機の乗組員の家族であった。