「此の虫十万弗」のストーリー

ニューヨークの劇場主ジェリー・フリンは立て続けに当たらぬ芝居を3つも上演したために、自分の所有する劇場をある銀行に抵当に入れ10万ドル借りた金を返済も出来ず、1週間の後には劇場を手離さなくてはならぬ破目に陥り、腐り切って、往来へ出てピンキー・トムスンとファッソの2少年と友達になる。ピンキーは彼に大切にしているボール箱の中を覗けと言う。ジェリーが覗いて見ると、その中には1匹の毛虫がいて、ピンキーの吹くハーモニカの「イエス・サー・ザッツ・マイ・ベビー」の曲に合わせ、尻尾で立ち上って踊るのである。ジェリーはこの前代未聞の珍芸を見てこれで世間をアッと言わせようと思いつき、ピンキーを自分のホテルへ呼び寄せ、新聞記者たちを招待して、踊る毛虫の実演を紹介しようとするが、記者連中はそんな馬鹿なことがあるかと言って、誰も相手にせず帰ってしまう。しかし有名なラジオのアナウンサー、ガブリエル・ハッター氏は、これに興味をもって毛虫カーリーの話をラジオで放送した。彼の話術の巧みさと、彼の教訓とは全米にセンセイションをまき起こした。ジェリーの許へは玩具製造会社などから、カーリーの使用件を譲ってくれと申し込みが殺到する。ウオルト・ディズニーからも2万5000ドルでカーリーの映画化を申し込んで来る。ジェリーはピンキーをパートナーにして、絶対にカーリーを売らぬと約束したが、しかし彼は目前に迫っている10万ドルの必要に抗しかねて、10万ドルならカーリーを売るとディズニーの代表者に告げた。ピンキーの姉のジェニーは、ピンキーが世間から大騷ぎをされるのを好まず、ジェリーの手からピンキーを連れ戻す。しかしピンキーは家を抜け出してジェリーのホテルへ戻って来る。ジェリーはピンキーを自分の許に置くようジェニーを説得する。2人の科学者がカーリーを調べ、現代の奇蹟であると折紙をつけてから、カーリーの名声は圧倒的になり、ディズニーは10万ドルを支払うと申出る。ピンキーはカーリーを手離すことを欲せず、カーリーを抱えて自宅へ逃げ帰る。ジェリーはピンキーにカーリーを渡せと迫り、ピンキーが拒絶すると興奮の余りピンキーの横顔を殴りつけた。彼はしかし自制を取り戻し、ピンキーがカーリーを差し出した時、受け取らずに出て行ってしまう。ピンキーはカーリーの箱に穴が明いて、カーリーの姿が見えなくなったので大騷ぎを始め、全市にわたってカーリー捜査が行われたがカーリーは発見されなかった。フリンはピンキーの自分に対する信頼を裏切ったことに対して自責の念に耐えなかった。彼はピアノの前に座って、カーリーの好きな曲を弾き出した。するとピアノの中から1匹の蝶が舞い出して来た。カーリーは毛虫から蝶になったのである。蝶は音楽に合わせて室内を飛び廻る。窓を明けてやると、それは空高く、舞い上って行くのであった。

今日は映画何の日?

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