「大河の一滴」のストーリー

両親の反対を押し切って上京し、友人の亜美と共に輸入雑貨店を経営する29歳の雪子は、ある日、商品の買い付けで訪れたロシアで知り合ったガイドの青年・ニコライと再会を果たした。トランペット奏者の彼は、東京のオーケストラのオーディションを受ける為に来日したのだ。だが、雪子の応援の甲斐も無くニコライは落選。雪子も店の経営の失敗と、郵便局長を務める父・伸一郎が末期癌で倒れたのをきっかけに、郷里の金沢へ帰ることとなってしまう。亜美の自殺、延命手術を拒否した父、雪子の周りを死の影が通り過ぎていく。そんな金沢での生活の中、雪子は幼なじみで彼女に秘かな想いを寄せる昌治に、こちらでトランペットのオーディションがないか相談を持ちかけた。そして、金沢フィルのオーディションがあることを知った彼女は、急遽ニコライを金沢に呼び寄せ、昌治の家に彼を泊まらせることしにした。それから暫くしたある日、伸一郎は雪子とニコライを伴って温泉旅行に出かけた。その宿で、彼はニコライに先の戦争でのソ連収容所体験を語り、雪子には「信念を持って、自分の思い通りに生きなさい」と言う言葉を贈った。オーディションの日、伸一郎がニコライの合格の報せを聞くことなく逝った。しかも、ニコライもビザの申請切れを理由に本国送還となってしまう。ニコライを愛し始めていた雪子は、彼を追って昌治と共にロシア行きを決意。だが、ニコライが恋人と生活していることを目の当たりにした彼女は、彼とは会うことなく、帰国の途に付くのだった。